2018年12月9日日曜日

NRD-515に6kHz,8kHzのフィルターを追加した

 NRD-515のオプションフィルタースロットに追加したCFR-455HとCFK455G

こんにちは。少し時間があきましたが前回に引き続きNRD-515のオプションフィルタースロットに追加のフィルターを組み込むお話です。

前回はNRD-515本体に手を加えることなくフィルターボード側で定数の変更を行ったためか損失が大きく、また帯域外減衰も甘いように感じました。

現時点ではCW用のオプションフィルターには全く興味がなく、思い切って本体側の定数を変更して入出力インピーダンスが1.5-2.0kΩのセラミックフィルターあるいはコリンズのメカニカルフィルターを乗せるべく変更しました。

変更点は以下の如くです。

R146 10kΩ→4.7mH
R148 10kΩ→4.7mH
R150 1.5kΩ→4.7mH
R151 1.5kΩ→4.7mH
L135 470μH→除去しバイパス
L136 470μH→4.7mH
C259 62pF→除去
C260 62pF→除去
フィルターボード上では入出力側に330μH、220pFを追加してFL2の回路と同じとしました。

本体側の変更後の様子

今回組み込む のはCRF455HとCFK455Gです。それぞれのフィルターの特性は

CFR455H(-6dB±3kHz、-70dB±7.5kHz、挿入損失7dB、入出力インピーダンス2kΩ)
CFK455G(-6dB±4kHz、-70dB±10kHz、挿入損失6dB、入出力インピーダンス2kΩ)

CFR455HとCFK455G

フィルターボード。前回と比べすっきりしています。
(ピンぼけです)
 
使用感です。 
 
6kHzのフィルター(CFR455H)はNRD-515の6kHzと比較して高音がよく出ており、短波帯ではリスニングに適したフィルターだと思います(片側5kHzに強力局がいる場合は多少オフセットが必要になります)。デフォルトの6kHz(CLF-D6S)では音声が浮き上がってくる感じですが、CFR455Hでは短波帯で特に音声、音楽が気持ちよく聞こえます。しかし両側±5kHzに放送局がある場合はビートの発生が必発で聞き苦しくなります。
 
8kHzのフィルター(CFK455G)は中波帯での受信、特にローカル局の受信の際にその良さが際立ちます。
短波帯では放送そのものの帯域が制限されているためか6kHzのフィルター(CFR455H)と比較しても混信ばかり増えて音質の良さは変わりませんが、中波帯の放送は9kHzのセパレートに合わせて広帯域化されており、特に音楽を聞いた場合の音質の良さは通信機の域を超えているように感じます。また中波帯ではサイドスプラッシュが気になるもののビートの発生は皆無です。
 
その昔NRD-515が発売された当初は放送バンドも今では考えられないくらい混みあっていました。NRD-515の用途もDX一辺倒で、受信の困難な局を聞くため受信帯域も狭いのがあたりまえ。当然オプションのフィルターも0.6kHz、0.3kHzのCW用超ナローフィルター!
 
NRD-515に使用されているデフォルトの6kHz、2.4kHzのフィルターはDX用としてAMワイド、AMナロー、SSB用を想定した場合、ベストの選択だと思います(6kHzは実際には多少狭く4-5kHzの印象ですが)。
 
月間短波1981年4月号の特集で「ポータブルも通信型もみんなまとめて*****BCL受信機総点検」でNRD-515の評価としてDX向として★★★★★とされているもののリスニング向としては★★★とされていました。DX向きとすれば必要十分でもリスニング用とすれば物足りない・・・・。今年NRD-515を入手して使ってみた印象もその通りでした。
 
現在NRD-515はDX用としてのAMのサイドバンド受信には少し無理があるためリスニング用として使用しています。このフィルターボードを装着したNRD-515を1981年当時のOMさんたちにお使いいただいたならば間違えなくリスニング向の評価も★★★★★になっていたのではないかと思います。