2023年6月10日土曜日

9R-59DS嫁いでいきました

 


 ご無沙汰しています。

 YouTubeにアップした9R-59DSです。11780kHzのアマゾニア(だと思うのですが)を受信している様子です。非常によく来ています。ALA1530LNPを5分配した一つを59DSにつないでいますがフルゲインで受信するとメーターが振り切れてしまうのでRF-GAINを一目盛り絞って受信しています。

 じつはこの59DS、先週京滋ミーティングのTAさんのもとに嫁いでいきました。40年前「幻の受信機」ということで知人からFEG-7とブツブツ交換で入手したものです。入手当初はその良さがよくわからず、もっぱら同時に所有していたR-1000ばかりを聞いていましたが、年を経るにつれてその良さがじわじわとわかるようになってきました。

 40年前、強力局ひしめく中波帯は混変調が生じるため多くの受信機で感度を落としてあったのですが、9R-59DSでは全く感度を落とさず、それでもほとんど混変調を生じることなく受信できました。高い周波数帯は感度低下がみられるもののA-Cバンドの主要放送帯については非常に高感度で受信できました。

 その後現在に至るまで合計4台の9R-59D(S)を入手しましたが、シャックが手狭になりRXの整理をすることとしました。今年京滋ミーティングに出席際TAさんに59DSの嫁入りの件を打診したところご快諾いただけましたので4台の59DSのなかで一番状態のいいものをお引き取りいただくことになりました。

 嫁入りに先立ちこの59DSですが手を加えてあります。

 ①高周波増幅管を6BA6→6DC6へ変更(真空管のピン配置の配線変更)

 ②高周波増幅のカソード抵抗変更(180Ω→150Ω)

 ③抵抗、可変抵抗、コンデンサーの全交換

 ④局部発振6AQ8の残りの3局部を使ったカソードフォロワー

 ⑤周波数カウンター取り出しのバッファー回路

 ⑥劣化したメカニカルフィルターの交換(部品どり用の59DSから)

 これらの整備により、59DSのオリジナルの性能(あるいはそれ以上)を発揮できるようになっています。

 嫁入り前にその姿を残しておこうと動画を撮影しYouTubeにアップしました。
以下にその他の受信の様子のリンクを上げておきますのでお時間ありましたご視聴いただければ幸いです。






2022年7月9日土曜日

ICOM AD-55J 修理した

ICOMのAC-DCアダプターAD-55J

前回に引き続きIC-R8500にまつわるお話です。

実は私のR8500にはS-メーター以外にもう一つ不具合がありました。それはボリュームを一定に保っているのにもかかわらずAF音が変化するという不具合です。

具体的には

Cold状態から電源をONにすると普通に受信音が聞こえてきます。それから注意深く聞いていると、じわじわと受信音が大きくなってきます。無限に大きくなるのではなく、数分たつとプラトーに達してそれ以上は大きくなりません。

音量が一定に達した後に電源を一旦OFFにして、その後すぐに電源をいれてみても音量に変化はありません。

お休み前に聞こえるか聞こえないかのギリギリの音量でラジオを聞く私には、この不具合は非常に面倒くさいものです。電源ONでお休み用の音量に設定して一旦寝床に入りますが、その後数分して寝床を抜け出してまた音量調整をしなくてはなりせん。

今回ICOMのリペアセンターさんにはSメーターの不調とともに、受信音の不具合についても対応をお願いしたのでありました。

リペアセンターさんからのお返事は

「ご指摘のAF音が変化する現象を確認しました。付属のACアダプター(AD-55J)が故障しており、出力電圧が低下しております。AD-55Jの販売は終了しており、在庫もございません。申し訳ございませんが、外部電源装置(13.8V)をご用意いただき、付属されているDC電源ケーブル(OPC-023D)を使用して頂けるようお願いいたします。」

といったものでした。

R8500本体ではなく、ACアダプターならパーツも大きいことだから何とかなるんじゃないか?と思い、とりあえずACアダプターをばらしてみました。

図1 AD-55J内部

AD-55J内部にはトランスとダイオードブリッジ、平滑のコンデンサーなどが収められていました(図1)。

ACアダプターに負荷をかけない開放状態での出力電圧は約20V。外見上は電界コンデンサーの腹ぼてでもなく、ダイオードの焼損も見られません。ただ、ダイオードの両端電圧にはばらつきがあり、ダイオードの不良が疑われます。

ダイオードブリッジ4本のうち何本かが不良のようですが、実装状態ではどれが不良かははっきりせず、すべてを交換することにします。

使用されているダイオードは1N5400(50V3A)、また念のため平滑の電解コンデンサーも交換することにします。ダイオードと電解コンデンサー25V6800μFはその日のうちにAmazonに発注しました。便利なもので翌日夕にはパーツが届き、交換作業に移ります。

取り外しにはパーツにダメージを与えないよう放熱クリップを使用して慎重にハンダと取っていきました。平滑の電解コンデンサーもあまり熱を加えないように、またトランス2次側のフィルムコンデンサーも取り外していきます。

取り外したパーツを調べてみると、ダイオード1本の故障(図2,図3)と、平滑の電解コンデンサーの容量抜け(図4)が確認できました。フィルムコンデンサーには不具合はなかったものの念ため交換です。手持ちパーツの関係でフィルムコンデンサ―は0.33μF→0.47μFに変更しています。

図2 正常なダイオード
図3 故障したダイオード(開放となっています)
図4 電解コンデンサーの容量ぬけ(6800μF→99μF)
図5 交換したパーツ
左が不良品 右は異常なし

電源電圧の低下の原因ですがダイオードブリッジの1本が開放状態となり、全波整流回路が半波整流回路となり整流効率が低下したため、定格の電流が流れた際の出力電圧が低下していたものと思われました。

図6 交換後の内部の様子
見た目は電解コンデンサーの色がかわったくらい

AD-55Jの修理も終わり、R8500に接続し電源を入れてみます。

さて、受信音はどうなったでしょう。聞こえるぎりぎりの音量でセットしてみます。うーん、時間とともに大きなっていきました。ただし修理前と比較しプラトーに達するまでの時間が若干短縮されているような印象です。

修理したかいはあったと思います。でもこれですべてが解決したわけでなくR8500本体側にも何らかの異常が存在がうかがわれますが、深追いはせずとりあえず今回のトラブルシューティングはここで終わることとしました。

最後に一言。実はAD-55Jを分解したところすでに一度分解された形跡がありました。おそらくはリペアセンターさんでも分解検査され、ダイオードの故障については把握されていたものと思われます。修理をお願いした際に2万円までと予算制限をしたため修理されなかったのかもしれません。今回の修理でのパーツ代金は1300円ほど。自分で交換したため技術料は不要で、SメーターとAD-55Jの修理の総額は2万円の予算内に収まりました。


2022年6月28日火曜日

IC-R8500修理に出しました

IC-R8500でNHK1大阪を受信中

ご無沙汰しております。

最近は山歩きもせず、ラジオ(DX局)もほとんど聞かない毎日が続いておりますが、唯一ほぼ毎日聞いているラジオが上の写真のNHK大阪第一放送局です。

ICOMのIC-R8500にALA1530LNPを5分配(2分配したうち1つをさらに4分配)したものを接続しています。聞こえるか聞こえないかのぎりぎりの音量で、お休み前に120分のスリープタイマーをセットし眠りにつきます。ALAの電源にも2時間のOFFタイマーにセットしています。

数か月前にシャックの大掃除を行いました。その際に久々にIC-R8500をまじまじと眺めたところSメーターの振れが渋いのに気が付きました。それがトップの写真のSメーターです。これまではNHK1大阪は少なくともS9+20-30dB程度は振れていたと記憶していたのですが、S5程度しか振れません。

アンテナの接触をチェックしましたが異常なし。受信感度が悪いわけではなく、中波帯から短波滞までNRD-545とほぼ同じ局が受信できます。またFM帯での受信状況もHF帯と同じでメータの振れだけが悪く、受信感度には問題ありませんでした。

Sメータ回路に問題があるように思われますが、単に調整がずれたのか、それともパーツの異常なのか・・・とりあえずサービスマニュアルを入手し、手持ちの機器を使用して可能な範囲で調整を行いました。

結果は・・・・やっぱり治りません。回路そのものに問題があるようです。さあーて、どうしましょうか?

IC-R8500はチップ部品が多用され、老眼に悩む私には拡大鏡を使用してもとても手ごわい相手です。たとえ不良部位を同定したとしても自分での交換はとても無理! 結局はアイコムリペアセンターさんにお願いしました。

2022/6/12(日)にリペアセンターに向け発送。6/13(月)には受領され、修理完了の連絡があったは6/21(火)でした。結果Sメーター回路の抵抗器1個の不良とのこと。パーツ交換と全バンド、受信感度点検を実施し、定格内を確認していただきました。6/23(木)には厳重に梱包されたR8500が手元に届きました。

手元に戻るや早速ケースから取り出し視聴します。まず驚いたのは非常にきれいにクリーニングされていること!チリ1つありません。ぴかぴかです。きれいになった感動もそこそこにAC-DCアダプタ、アンテナを接続し電源をONにします。

図1 S6+25dBで元気よく振れるようになりました。

ほほぅ! NHK1大阪は気前よくS9+25dBで振れます(図1)。FM帯も以前の状態に戻っています。20年近く連れ添った相棒が元気になったことを喜ぶとともに、受信機本体に同封されていたチップ抵抗(図2)を見て、諭吉1人に英世4人が「安い!」と思った瞬間でもありました。

図2 同封されていた不良のチップ抵抗
ご利用ありがとうございました。の「と」の上にチップ抵抗あり


2021年8月9日月曜日

由布岳お鉢巡り(関西発弾丸フェリー)

 

飯盛ヶ城と由布岳

ご無沙汰しております。約1年ぶりの更新になります。

昨年8月の立山登山以来、コロナ禍で外出が制限され、まともな山行きは全くできなく、日々自宅周辺でのジョギングで体をほぐす程度の運動しかできていませんでした。体はなまり、ストレスもたまるばかり・・

今年に入りワクチンの接種が開始され、我が家でも7月末にはようやく家族全員の2回接種が終わったことから2021年8月6日、九州は大分の由布岳に出かけることにしました。

九州へは大阪南港からの現地0泊船中2泊の弾丸フェリーを利用し、メンバーは家内、次男坊と私の3人。4m未満の車では割引があるとのことで、家内のN-ONEで出かけます。

船室については、連日新型コロナの新規患者数が10000人を超えていることもあり、大部屋(ツーリスト)、相部屋(ツーリストベッド)は避けて、ファースト(個室4人部屋)を取りました。

N-ONEに荷物を積み込んだところ(後ろから)
N-ONEの後部座席の様子

2021年8月5日(木)は半日有給をとり、午後に帰宅。自宅を15時半に出発し、京都縦貫道-名神高速-近畿道-阪神高速と走り16時45分ごろ南港のフェリー乗り場に到着。乗船手続きを終えたのが17時前でした。
さんふらわあ あいぼり

乗船は18時からの予定です。ATC内をウロウロしていると17時40分ごろ、全館放送で車での乗船開始のアナウンスがあり、急いで車に戻りました。が実際に乗船が始まったのはやはり定刻近くでした。

ファーストの船室には2段ベッドが2セット、座布団4枚に座椅子が2つ、テーブルとテレビが備え付けてあります。コンセントは各ベッドに1つ、それとは別で窓側にテレビ用のコンセントが1つありました。テーブルタップを持参すれば、テレビと同時にパソコンやiPad、スマホなどの電源を供給することが可能です。

船内にはWiFiがあります。乗船後、出船までは非常に快適に使用できました。出港後は非常に不安定になります。陸地からの電波が弱くなると、帯域が狭くなるようで、接続が不安定になり、航行中ほほとんど使えない(動画視聴は絶望的)と思っておいた方がいいと思います。

ファーストの船室には窓があるためかスマホの電波は比較的安定していて、テザリングにてパソコンのWEB閲覧は十分に可能でした。窓のないツーリストベッド4人部屋やスタンダード個室では、どの程度スマホの電波が届くか定かではありません。

夕食はレストランのバイキングを食べました。品数もそこそこあり、おいしかったのですが2000円はちょっと痛いかなぁ。

夏休み期間ではあるものの、フェリーのスタッフさんによるとコロナ禍以前からすると約半分程度の乗船率とのこと。入浴やレストランの使用でも、密と感じる場面は全くありませんでした。

翌日(2021年8月6日)は5時30分に起床。5時45分からの朝食バイキング(620円)をたらふく食べて山登りに備えます。6時55分別府到着ですが、車で下船できたのは7時半前でした。ローソン別府観光港店で山行きの水分を購入、その後やまなみハイウェイを走り、8時過ぎに由布岳登山口に着きました。

無料駐車場に車を止めます。金曜日であり駐車場にもかなり空きがありました。駐車場から見上げる由布岳山頂は雲の中です。東よりの風が非常に強く、雲がどんどんと流れていきます。身支度を整えて8時17分駐車場を後にしました。

由布岳登山口から見た飯盛ヶ城と由布岳(頂上は雲の中)

登山口から日向越分岐までは気持ちのいい草原を歩きます。何本も踏み跡があり、好きなところを歩きます。風が気持ちよく、夏の九州にいること忘れてしまいます。8時30分に日向越分岐を通過、ここからは樹林帯歩きになります。

樹林帯をどんどんと登っていきます

樹林帯では展望はないものの、木々が風や日差しを遮ってくれて快適です。傾斜もさほどなく、どんどんと高度を上げていきます。8時51分に合野越に着きました。ここでしばし休憩、水分補給をし、8時55分にまた歩き出します。

標高1200mを超えると樹林帯もとぎれ、視界が開けてきます。湯布院の町や登山口で見上げていた飯盛ヶ城が足元に見えてきました。

湯布院の町を見下ろす
足元に飯盛ヶ城

さらに登っていき標高1400mを超えると、さらに風が強くなりガスってきました。9時58分マタエに着きました。雲のなかで風も強く休憩していると寒く感じます。視界はほとんどありません。

ガスの中のマタエ

10時5分に由布岳西峰へむけ歩き出します。いきなり鎖場が現れますが、足場はしっかりしており鎖を使うことなく登っていけます。その後も鎖場がいくつかあるものの障子戸のトラバースの鎖以外はほとんど使うことはありませんでした。横風が強く切り立った稜線ではかなりあおられます。慎重に歩きます。
障子戸の鎖場(風が強くガスがどんどん流れていきます)
鎖を使わずに登れますが風にあおられます
由布岳西峰山頂

10時22分に西峰の山頂に着きました。360度ガスで何も見えません。水分補給と山頂標識を写真に収め10時26分お鉢巡りへと進みます。その後も切り立った稜線を歩きます。相変わらず風が強く、慎重に進みます。

鞍部への下りはザレザレでとても滑りやすく、太ももにかなりの負担となります。ストックを使えばよかったかなぁ。鞍部からはナイフリッジの岩場を歩きます。ナイフリッジからの登り返しは下りとは対照的に湿った土でした。

登り返し途中からナイフリッジを振り返ってみたところ
目の前の岩場を超えれば東峰まであと少し
東峰山頂
東峰山頂には11時22分に到着しました。多少はガスが薄くなってきたもののまだすっきりとは周りを見渡せまえせん。行動食と水分をとり、11時33分に下山開始しました。あとはひたすら下ります。マタエ11時43分、合野越12時34分、日向越分岐12時53分、そして登山口には13時3分にたどり着きました。

下山後振り返ってみると由布岳の山頂がすっきりと見えるではありませんか!

駐車場で着替えを済ませ、13時半ごろ駐車場を後にします。別府へ戻り昼食です。当初予定していた亀正くるくる寿司は駐車場が満車で入れず、東洋軒へ向かいました。

ゆず鳥天定食

駐車場に車を止め、15分ほど待って席に案内されました。とり天発祥の店とかで、有名人の写真があちこちに貼ってあります。とり天のお味はサクサクフワフワでとてもジューシー。食事を終え、店を出たのは15時前でした。

帰りのフェリーにはまだ時間あります。国道10号を大分方面へ走り水族館「うみたまご」へ向かいました。わりと立派な水族館です。印象的だったのは館内をアシカが散歩していることでした。一通り館内を見てまわり、16時半過ぎにはうみたまごを後にしました。
館内散歩中のアシカ

国道10号線を別府方面へ戻ります。港までの途中、市内のスーパーで今晩の夕食やアルコールの買い出しをします。たくさん買ったのですが、昨日のバイキング3人分より安くですみました。

スーパーで買い物を済ませ、別府観光港には17時半前に着きました。乗船手続きをし、土産を買い、アイスを食べ待合所で待っていると、乗船案内があり18時半に乗船しました。

部屋に荷物を置き、早々に入浴します。別府まで来て温泉に入ることなくフェリーでの入浴はかなり残念ではありますが、フェリーに乗るまでに入浴してしまうとその後動けなくなりそうで、しかたないかなぁ。

入浴後は船室でビール、日本酒を飲みながら、地元スーパーで購入した寿司と刺身で夕食としました。家内は早々に寝落ち。私と息子も23時前には就寝しました。

翌朝6時に起床し、6時20分からレストランで朝食(バイキング)を食べます。朝食を終え船室に戻ると大阪南港はすぐそこです。荷物をまとめていると7時過ぎには着岸し、車で下船したのは7時半ごろでした。

阪神高速-近畿道-名神高速-京都縦貫道と走り9時前には自宅にたどり着きました。

初の九州の山登りでしたが、フェリーを使うことで体の負担も少なく十分に楽しむことができました。今回は別府からの由布岳登山でしたが、港から登山口までが片道1ー2時間までで、コースタイムが4-5時間程度の山であれば余裕をもって楽しむ事ができそうです。大分から九重連山や、鹿児島からの霧島、高千穂なども可能かと。お財布に余裕ができれば出かけたいものです。

2020年8月30日日曜日

立山縦走

ミクリガ池から別山、雷鳥沢を望む

2020年8月21日-22日と嫁さん、息子を引き連れ立山に行ってきました。

8月21日は朝7時に自宅を出発。京都縦貫道-京滋バイパス-名神-北陸道と走り立山駅の駐車場には11時過ぎに到着しました。

11時40分のケーブルに乗り、美女平で高原バスに乗り換え室堂に着いたのは12時50分。室堂ターミナルで昼食としました。嫁さんと息子は白海老から揚げ丼定食を、私はカレーを注文しました。
白海老から揚げ丼定食
カレー
 
昼食のあと今日の宿である雷鳥荘へ向かいます。室堂からの遊歩道は非常にきれいに整備され山の装備がなくても快適に歩くことができそうです。
 
室堂からは青い池面のミクリガ池を過ぎ、地獄谷を左手にみながら硫黄臭い道を歩きます。雷鳥荘には14時過ぎに到着しすぐさまチェックイン。
一の越、雄山、大汝山、富士ノ折立
 
雷鳥荘は山小屋としては非常に快適で、まさに「山小屋のリゾートホテル」。タオルに浴衣まで用意されていました。また温泉が絶品で、夕日を眺めながらの白濁した天然温泉は天上の別世界へと誘ってくれます。
 
17時半に夕食を取りました。夕食のクオリティーは山小屋の平均からやや上のレベル。ご飯を2回お代わりし、食後には個室へ戻り持ち込みの久保田を一杯ひっかけ21時頃には就寝しました。
雷鳥荘の夕食

8月22日(土)は4時30分に起床。前日に用意してもらった朝食の弁当を食べ、余計な荷物をフロントに預け5時45分に出発しました。

一の越には6時51分着。写真撮影とトイレ休憩ののち7時1分に出発しました。三の越では視界が開け立山から南方の北アルプスの山々が望めます。
三の越から龍王岳、五色ヶ原、奥には薬師岳、黒部五郎岳、笠ヶ岳

雄山山頂には7時42分着。黒部側をのぞき込むと御前沢氷河が見えます。御前沢氷河は、剱岳の三の窓氷河、小窓氷河と合わせ日本で始めて認定された氷河です。極東での氷河の南限に当たるとか。
御前沢氷河
雄山山頂
大汝山から真砂岳、別山、奥には剱岳
大汝山から野口五郎岳越しに槍穂高岳
 黒部ダムと黒部湖、右手前には御前沢氷河
 
7時50分に雄山発。大汝山、富士ノ折立、真砂岳、別山への縦走へと向かいます。富士ノ折立を過ぎたあたりで雷鳥の親子に出会いました。
 
雷鳥は今までに何度も見ていますが、ひなに出会ったは今回が初めてです。親鳥のあとを「ぴよぴよ」と鳴きながら追いかけていきました。
雷鳥の親鳥
雷鳥のひな(ピヨピヨ)
富士ノ折立から真砂岳、別山、剱岳、剣御前

大汝山(8:10)を過ぎたあたりから息子の体に異変が出現。左眼の痛みに、左鼻汁が止まらないとのこと。地獄谷からの有毒ガスが上昇気流によって左側から巻き上げられてきています。これが乾燥した左側の粘膜を襲ったようです。
 
途中からサングラス、マスクを着けたものの、その後も痛み鼻汁は続きます。剣御前小舎で約25分休憩(10:05-10:30)を取りました。休憩時にポカリスエットによる眼洗浄を行って多少は改善しましたが、その後雷鳥沢の下り、雷鳥平から室堂への登り返しで再度有毒ガス苦しめらることになります。
 
ちなみに私と家内はほとんど症状は出ませんでした。
真砂岳から室堂平、地獄谷、雷鳥平を望む
剱岳と剱沢
奥には白馬岳
雷鳥沢を降る
雷鳥平からの登り返しの途中からみた立山
 
11時39分に雷鳥荘に戻り、預けていた荷物を回収し11時49分室堂へ向かいます。室堂ターミナルへは12時14分に到着しました。室堂で昼食を食べようかと思っていたものの結構な待ち時間があるようでそうそうにバス乗り場へ。
 
室堂12:30の臨時高原バスにのり、美女平でケーブルへと乗り継ぎ、立山駅には13時半頃着きました。息子は立山駅のトイレで右眼の洗浄を行いました。洗浄により痛みは多少は改善したとのことで、車に戻り帰り14時15分ころ京都へ向け出発しました。
 
途中富山市内のドラッグストアで点眼薬、点鼻薬とティッシュを購入。点眼、点鼻によりさらに症状がマシになったとのこと。
 
流杉スマートICから北陸道にのり、名神(途中黒丸PAで夕食)-京滋バイパス-京都縦貫道を走り自宅へは19時ころにたどり着きました。



2020年6月10日水曜日

RD-9810とRD-9830の特性を比較してみた

図1:ナショナルのアンテナカップラーRD-9810(上)と
プリセレクティブアンテナカップラーRD-9830(下)

前回、前々回とナショナルのRD-9810、RD-9830について紹介してきました。
今回はこのアンテナカップラー(RD-9810)とプリセレクティブアンテナカップラー(RD-9830)の中波帯の特性を測定し、測定結果からいろいろと考察してみようと思います。

【方法】
(1)単一信号による特性評価
特性の測定には中華製のDDS信号発生器(Kuman FY6600)→ATT(-60dB)→試験機(RD-9810/RD-9830/自作プリセレ)→Perseusと接続します。
 RD-9810/RD-9830への接続は図2のようにワニ口グリップのケーブルを用いて行いました(自作プリセレについては両端BNCの3D-2Vケーブルで接続)。
図2:RD-9810への接続(ワニ口クリップ)
 
Perseusの帯域幅を1600kHzとして中心周波数を1100kHzにセットします。DDSにて1100kHzを発信させ、マッチングスイッチを選択しPerseusで信号強度が最強となるようにチューニングダイアルを合わせます。次にDDSにて500-1700kHzをスイープしPerseusをM Holdとして記録していきます。 
 
なおDDSのスイープの出力レベルが調整できない(やり方がわからない?)ため、外付けの減衰器でレベル調整を行っています。
 
それぞれの機種、それぞれのマッチングで中心周波数の1100kHzと±100kHz離調(1000kHz、1200kHz)、±500kHz離調(600kHz、1600kHz)でのメーターの値を読み取りました。
またRD-9830のゲインはHighに回し切った状態で測定しています。

(2)実際の放送波を受信しての特性比較
地上高10mのALA1530LNPを3D-2V約20mで室内に引き込み、それを2分配します。2分配したケーブルをさらに4分配しそのうちの1本をPerseus直結、RD-9810、RD-9830とつなぎ変えて中心周波数1098kHz、帯域1600kHz幅で受信し波形を保存しました。
 
【結果】
以下図3~図5に単信号特性の測定結果についてPerseusの生画像の一例を示します。表1ではPerseusから読み取った値を一覧として表示しました。
図3:RD-9810の特性
マッチングは上段はDirect、下段はA
図4:RD-9830の特性
マッチングは上段はDirect、下段はA
図5:自作プリセレクターの特性
上段Direct下段 0.42-1.3MHz帯 
表1:RD-9810、RD-9830入出力レベル一覧
 

表1はPerseusでの測定値をそのまま示してあります。このためそれぞれの機種の特性が読みにくくなっているため、入力レベル(自作プリセレクターのDirectの信号レベル)からの利得差を表示するグラフを作成しました(図6、図7)。
 
図6:RD-9810特性
 
 RD-9810のDirectでは若干のロス(-2.3~-2.8dB)がありますが周波数特性は概ねフラットでした。信号強度はマッチングB、CでDirectを少し上回りますが、入力レベルを超えることはありませんでした。
中心周波数前後100kHzの特性はブロードですが500kHz離れるとある程度は減衰されます。
なおRD-9810のマッチングDは同調点がはっきりせず計測を省いてあります。
 
図7:RD-9830特性
 
RD9830のDirectはかなりのロスがあり、低い周波数でロスが大きくなっています(600kHzで-22dB、1600kHzで-13.8dB)。
中心周波数での信号強度は最も弱いAでも+11.8dB、最も強いDでは+25.6dBとなりプリアンプの効果が見られます。
また中心周波数±100kHz離調での減衰が大きく、Aでは-100kHzで16.1dB、+100kHzで13.1dBもの減衰が見られました。
 
 図8:ALA1530LNPを8分配(2分配×8分配)しそれぞれ得られた波形
上段は分配器から直結、中段RD-9810 A、下段RD-9830 A 

信号源としてALA1530LNPを使用した場合、RD-9810では500kHz以下、1600kHz以上ではのノイズレベルが下がり非常にすっきりした印象です。これに対してRD-9830では500kHz以下では相互変調波と思える波形が見られ、1600kHz以上ではノイズレベルの上昇を認めました。

【考察】
図6、図7のRD-9810、RD-9830の特性図でまず気になるのはDirectでの損失です。RD-9810で約2-3dB、RD-9830では13.8-22dBもの損失が見られました。
 
RD-9810の損失については図2のように50Ωケーブルからワニ口で接続しており、マッチングをとることによってロスは若干改善されること、また周波数に依存せずフラットな特性であることから、入出力の接続での損失が疑われます。
 
ところがRD-9830では単に接続の問題では説明できない大きなロスが生じています。そこでRD-9830の内部を確認してみるとDirectのポジションでも入力と出力は直結にはなっておらずRCで構成された回路が介入しているのがわかりました(図9)。周波特性がフラットではないことなどからもこのRC回路により損失が生じているものと考えられました。なおRC回路のプリントパターンの確認ができず詳細は不明です。
図9:RD-9830内部
緑の楕円内に抵抗とコンデンサーがあり、入力(黄色のワニ口)
からの青いラインが基板へと向かい、CRの回路を通り黄色のライン
でマッチングスイッチへと続きます。Directではここから青のライン
で出力側に向かいます。
 
次に目につくのは同調の鋭さ(Qの高さ)の違いです。その昔(40年以上前)20m程度のアンテナをRD-9810経由でプロシード2800に接続して使った時には同調点も取りづらく、思ったほどのゲインもなくてとその効果を実感できなくて、数回使った後はほとんど出番がありませんでした。
 
ただし数m程度の短いアンテナを9R-59DSに接続した際には効果が実感されたこともありローインピーダンスの受信機にはそれなりの効果があったのかもしれませんが、それでも測定結果からは同調のブロードさが明らかとなりました。
 
その点RD-9830は前後100kHzで目立って信号が強くなるため(しかも入力レベルを大幅に上回って)、40年以上前に購入した時ももっぱらこの機種を使っていました。今回の検証でもその特性が示されており、特に同調点では入力レベルから11.8-25.6dBの利得が得られていました。
 
しかしそのRD-9830も図8に示すように多信号特性に問題が見られます。図8では一番利得の低いマッチングAでも500kHz以下で、利得の高いCでは1600kHz以上でも相互変調波が観測されました。
 
RD-9810では相互変調波の発生もなく500kHz以下、1600kHz以上でのノイズ(信号)が抑え込めています。このことはシングルスーパーでのイメージ混信の除去には有効かと思われました。
 
【まとめ】
RD-9810とRD9830の特性比較を行った。
RD-9810は利得はなく近接周波数の選択度は高くないもののイメージ混信の除去には有効と思われる。
RD-9830は高い利得と高い選択度があるが、強入力信号を扱う際には相互変調波に注意が必要である。
 
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