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2022年7月9日土曜日

ICOM AD-55J 修理した

ICOMのAC-DCアダプターAD-55J

前回に引き続きIC-R8500にまつわるお話です。

実は私のR8500にはS-メーター以外にもう一つ不具合がありました。それはボリュームを一定に保っているのにもかかわらずAF音が変化するという不具合です。

具体的には

Cold状態から電源をONにすると普通に受信音が聞こえてきます。それから注意深く聞いていると、じわじわと受信音が大きくなってきます。無限に大きくなるのではなく、数分たつとプラトーに達してそれ以上は大きくなりません。

音量が一定に達した後に電源を一旦OFFにして、その後すぐに電源をいれてみても音量に変化はありません。

お休み前に聞こえるか聞こえないかのギリギリの音量でラジオを聞く私には、この不具合は非常に面倒くさいものです。電源ONでお休み用の音量に設定して一旦寝床に入りますが、その後数分して寝床を抜け出してまた音量調整をしなくてはなりせん。

今回ICOMのリペアセンターさんにはSメーターの不調とともに、受信音の不具合についても対応をお願いしたのでありました。

リペアセンターさんからのお返事は

「ご指摘のAF音が変化する現象を確認しました。付属のACアダプター(AD-55J)が故障しており、出力電圧が低下しております。AD-55Jの販売は終了しており、在庫もございません。申し訳ございませんが、外部電源装置(13.8V)をご用意いただき、付属されているDC電源ケーブル(OPC-023D)を使用して頂けるようお願いいたします。」

といったものでした。

R8500本体ではなく、ACアダプターならパーツも大きいことだから何とかなるんじゃないか?と思い、とりあえずACアダプターをばらしてみました。

図1 AD-55J内部

AD-55J内部にはトランスとダイオードブリッジ、平滑のコンデンサーなどが収められていました(図1)。

ACアダプターに負荷をかけない開放状態での出力電圧は約20V。外見上は電界コンデンサーの腹ぼてでもなく、ダイオードの焼損も見られません。ただ、ダイオードの両端電圧にはばらつきがあり、ダイオードの不良が疑われます。

ダイオードブリッジ4本のうち何本かが不良のようですが、実装状態ではどれが不良かははっきりせず、すべてを交換することにします。

使用されているダイオードは1N5400(50V3A)、また念のため平滑の電解コンデンサーも交換することにします。ダイオードと電解コンデンサー25V6800μFはその日のうちにAmazonに発注しました。便利なもので翌日夕にはパーツが届き、交換作業に移ります。

取り外しにはパーツにダメージを与えないよう放熱クリップを使用して慎重にハンダと取っていきました。平滑の電解コンデンサーもあまり熱を加えないように、またトランス2次側のフィルムコンデンサーも取り外していきます。

取り外したパーツを調べてみると、ダイオード1本の故障(図2,図3)と、平滑の電解コンデンサーの容量抜け(図4)が確認できました。フィルムコンデンサーには不具合はなかったものの念ため交換です。手持ちパーツの関係でフィルムコンデンサ―は0.33μF→0.47μFに変更しています。

図2 正常なダイオード
図3 故障したダイオード(開放となっています)
図4 電解コンデンサーの容量ぬけ(6800μF→99μF)
図5 交換したパーツ
左が不良品 右は異常なし

電源電圧の低下の原因ですがダイオードブリッジの1本が開放状態となり、全波整流回路が半波整流回路となり整流効率が低下したため、定格の電流が流れた際の出力電圧が低下していたものと思われました。

図6 交換後の内部の様子
見た目は電解コンデンサーの色がかわったくらい

AD-55Jの修理も終わり、R8500に接続し電源を入れてみます。

さて、受信音はどうなったでしょう。聞こえるぎりぎりの音量でセットしてみます。うーん、時間とともに大きなっていきました。ただし修理前と比較しプラトーに達するまでの時間が若干短縮されているような印象です。

修理したかいはあったと思います。でもこれですべてが解決したわけでなくR8500本体側にも何らかの異常が存在がうかがわれますが、深追いはせずとりあえず今回のトラブルシューティングはここで終わることとしました。

最後に一言。実はAD-55Jを分解したところすでに一度分解された形跡がありました。おそらくはリペアセンターさんでも分解検査され、ダイオードの故障については把握されていたものと思われます。修理をお願いした際に2万円までと予算制限をしたため修理されなかったのかもしれません。今回の修理でのパーツ代金は1300円ほど。自分で交換したため技術料は不要で、SメーターとAD-55Jの修理の総額は2万円の予算内に収まりました。


2020年3月8日日曜日

NRD-515 keep alive その後

PLL周波数情報のバックアップバッテリーの更新(CR123A)

2019年11月8日にNRD-515のPLL周波数情報のバックアップバッテリーとしてCR2032型コイン電池をセットしました。

それから毎日1‐2時間NRD-515の電源を入れ、周波数情報が保存されているかチェックしてきました。

ちょうど4か月後の2020年3月7日にバッテリーが切れました。できればもう少しもってほしかったのですが定格上の容量が220-240mAhのCR2032ではこれが限界のようです。

そこで今度はもう少し容量の大きなCR123Aをセットすることにして、本日(2020年3月8日)電池ホルダーを取り付けました(ブログトップの写真)。

CR123Aの容量が1550mAhですので計算上は2年近く持つはずです。結果について報告できるのはかなり先になるかと思います。

2019年12月3日火曜日

NRD-515 周波数 "keep alive" 機能

PLL周波数情報のバックアップバッテリーを装着
 
前回に引き続きNRD-515の”気に入らない点を改善しています。
 
 我が家のNRD-515の問題点
①受信周波数が約1kHzずれる。
②AM受信の際に「キーン」とビート?内部スプリアス?が聞こえて耳障り。
③SSB、CWでキャリアポイントがずれている。
④時にSメーターが+20dBほど振れて受信不能となる。
⑤BFO&BC TUNE、ΔFのつまみが純正でない。
⑥受信感度が若干低い、特にSSB受信で著明。
⑦長時間電源をOFFにしているとkHzのPLL情報がリセットされる。
⑧ΔFの可変周波数幅が広すぎてSSBのゼロインがしにくい。

⑨PBTがセンターでロックされる可変抵抗のため微妙な調整がしにくい。
⑩kHzダイアルが時々滑るような感じで反応が悪くなる。

 
前回は⑥の受信感度の問題について、高周波の信号ラインの調整、またSSBフィルター(2.4kHz)をコリンズのメカニカルフィルターに交換し改善がみられました。
 
今回は⑦のPLL情報の保持(Keep Alive)機能ができるように、バックアップ電源を装着しました(トップの図)。
 
 
NRD-515では電源をOFFとした後、長時間(一晩程度)経過するとkHz周波数の情報がリセットされます。
 
例えば"11980kHz"を受信していて、電源スイッチをOFFとします。数分~数時間までは電源を入れると"11980kHz"が受信できます。ところがこれが長時間(5-6時間以上)経過した場合(夜に受信していた状態で電源をOFFとして翌朝受信)に電源を入れた場合、受信される周波数は"11000kHz"になります。
 
最近の受信機ではバックアップのバッテリーが装着されていますが、NRD-515にはバックアップバッテリーの装着がありません。
 
WEBで調べてみると受信基板のTP35に+3~4.5Vの電圧を加えることでPLL情報が保持されるとのことでした。そこで私のNRD-515の受信基板でTP35を探してみましたが・・・見当たりません。
 
これまた調べてみると初期の個体ではTP35がないものがあると・・・
 
仕方がなくC283の+に1S1588にかわり手持ちにあった1S2067AEを接続してTP35を作りました。
C283 47μFの+に1S2067AEを介してバッテリーを接続 

バッテリーにはCR2032 3Vのコイン電池を使用しました。

コイン電池の容量が220-240mAhであり、持続期間が心配だったのですが2019年11月8日にバッテリーをセットし2019年12月3日現在”keep alive"機能は"alive"です。

2019年11月4日月曜日

NRD-515の高周波回路調整

第一ミキサーのバランス抵抗を調整中

昨日、今日とNRD-515で遊んでいました。

NRD-515にコリンズのメカニカルフィルターを装着してからSSBの受信が快適になったのに気をよくして次なる問題点を解決すべく取り組みました。

以下には昨年入手時に挙げた問題点を再度掲載します。⑧~⑩の赤文字はその後の使用で新に感じた(生じた)問題点(不満点)です。

①受信周波数が約1kHzずれる。
②AM受信の際に「キーン」とビート?内部スプリアス?が聞こえて耳障り。
③SSB、CWでキャリアポイントがずれている。
④時にSメーターが+20dBほど振れて受信不能となる。
⑤BFO&BC TUNE、ΔFのつまみが純正でない。
⑥受信感度が若干低い、特にSSB受信で著明。
⑦長時間電源をOFFにしているとkHzのPLL情報がリセットされる。
⑧ΔFの可変周波数幅が広すぎてSSBのゼロインがしにくい。
⑨PBTがセンターでロックされる可変抵抗のため微妙な調整がしにくい。
⑩kHzダイアルが時々滑るような感じで反応が悪くなる。

このうち①~③についてはPLL回路の調整にて解決ずみ。
④についてもリレーの接点をクリーニング後は症状みられず。
⑤もそれなりのつまみを入手後交換済み。

⑥の受信感度について問題点を切り分けると
1)NRD-515本体の受信感度の問題
2)SSB用の2.4kHzのフィルターの損失の問題

上記2)についてはまずデフォルトの国際電気のメカニカルフィルターのクリーニングを行ったもののまだ損失が大きく、最終的にコリンズメカニカルに交換することで解決しました。

さてようやく今日の本題ですが、1)のNRD-515本体の受信感度についてのお話です。

NRD-515の感度の問題をネットで検索すると高周波のFETの交換で感度が改善するとの記載がありました。早速交換用にFETを発注すべく入手先を調べてみます。

3SK45についは入手可→すぐさま発注。第一ミキサーのFETは2SK125で代替可能(手持ちにあり)。2SK19-BLは2SK192A-BLが互換品とありますが、これがなかなか見当たりません・・・いろいろと問い合わせてみたものの2SK192A-BLが@245円、最小購入数50個とのこと。今回の予算に合わず購入は断念しました。

それならばと高周波の信号ラインを調整することで受信感度が改善されないかとサービスマニュアルにしたがって高周波系の調整を行ってみることにしました。

第一、第二の局部発信回路、第一混合のバランス回路の調整、第一、第二の中間周波増幅のトランスの調整を行いました。

結果としてこの調整により受信感度は改善しました。NRD-545とほぼ同じレベルとなりました。

特に効果があったのは第二中間周波のトランス調整(T14、T6、T5)です。調整により目に見えて損失が減りました。また第一ミキサーのバランス調整も効果を実感できました。

また今回、高周波回路の調整を行ったことで副次的に受信音がよくなりました。調整前は受信音に若干ひずみがあり聞きにくかったのですが、調整後は特に広い帯域での受信音がすっきりして聞きやすくなりました。

まだしばらくはNRD-515で遊べそうです。

2019年10月22日火曜日

NRD-515メカフィル交換

NRD-515にコリンズのメカニカルフィルターを装着

こんにちは。今回は昨年12月以来のラジオネタです。

このところ時間があればNRD-515と9R-59Dで遊んでいます。9R-59Dについては以前に抵抗、コンデンサーを新しいものに置き換え、高周波増幅を6BA6→6DC6(R3:カソード抵抗もついでに調整)へ変更して以来非常に満足できる感度となっています。

NRD-515については昨年PLLの調整や国際電気のメカニカルフィルターのクリーニングを行い使い勝手はよくなったもののまだSSBの受信がしっくりときません。

特に国際のメカニカルフィルターMF-455-10AZの帯域が狭いこと、クリーニングを行った後もまだ損失が大きいためNRD-515のSSBの受信感度がAM受信と比較しても、また9R-59DのSSB受信と比較しても悪いのです。

このことにしびれを切らし、一昨日NRD-515のメカフィルを国際電気のものからコリンズのものに交換してみました(トップの写真)。

今回交換したコリンズのメカニカルフィルターはAR-7030に使用されている8素子の帯域2.5kHzのものです(MF2.5;526-8694-010)。

コリンズのメカフィルの入出力インピーダンスが2kΩなので、デフォルトの回路のマッチングトランスT10、T11を取り外し、MF2.5の入出力に直列に330μH、並列に4.7mHのインダクターを入れてマッチングを取りました。

一昨日の20時に作業を開始し22時半頃に作業終了。アンテナをつなぎスイッチオン。

早速3.5MHzのアマチュアバンドをワッチしますが、これが非常にいい!

損失はなくなり非常に明るい音になりました。現代のRXのSSBの受信音です。AM放送のサイドバンド受信も実用になるレベルです(ゼロインに多少手間取りますが・・・)。

そのうち受信音もアップ予定です。

2018年12月17日月曜日

2018年12月9日日曜日

NRD-515に6kHz,8kHzのフィルターを追加した

 NRD-515のオプションフィルタースロットに追加したCFR-455HとCFK455G

こんにちは。少し時間があきましたが前回に引き続きNRD-515のオプションフィルタースロットに追加のフィルターを組み込むお話です。

前回はNRD-515本体に手を加えることなくフィルターボード側で定数の変更を行ったためか損失が大きく、また帯域外減衰も甘いように感じました。

現時点ではCW用のオプションフィルターには全く興味がなく、思い切って本体側の定数を変更して入出力インピーダンスが1.5-2.0kΩのセラミックフィルターあるいはコリンズのメカニカルフィルターを乗せるべく変更しました。

変更点は以下の如くです。

R146 10kΩ→4.7mH
R148 10kΩ→4.7mH
R150 1.5kΩ→4.7mH
R151 1.5kΩ→4.7mH
L135 470μH→除去しバイパス
L136 470μH→4.7mH
C259 62pF→除去
C260 62pF→除去
フィルターボード上では入出力側に330μH、220pFを追加してFL2の回路と同じとしました。

本体側の変更後の様子

今回組み込む のはCRF455HとCFK455Gです。それぞれのフィルターの特性は

CFR455H(-6dB±3kHz、-70dB±7.5kHz、挿入損失7dB、入出力インピーダンス2kΩ)
CFK455G(-6dB±4kHz、-70dB±10kHz、挿入損失6dB、入出力インピーダンス2kΩ)

CFR455HとCFK455G

フィルターボード。前回と比べすっきりしています。
(ピンぼけです)
 
使用感です。 
 
6kHzのフィルター(CFR455H)はNRD-515の6kHzと比較して高音がよく出ており、短波帯ではリスニングに適したフィルターだと思います(片側5kHzに強力局がいる場合は多少オフセットが必要になります)。デフォルトの6kHz(CLF-D6S)では音声が浮き上がってくる感じですが、CFR455Hでは短波帯で特に音声、音楽が気持ちよく聞こえます。しかし両側±5kHzに放送局がある場合はビートの発生が必発で聞き苦しくなります。
 
8kHzのフィルター(CFK455G)は中波帯での受信、特にローカル局の受信の際にその良さが際立ちます。
短波帯では放送そのものの帯域が制限されているためか6kHzのフィルター(CFR455H)と比較しても混信ばかり増えて音質の良さは変わりませんが、中波帯の放送は9kHzのセパレートに合わせて広帯域化されており、特に音楽を聞いた場合の音質の良さは通信機の域を超えているように感じます。また中波帯ではサイドスプラッシュが気になるもののビートの発生は皆無です。
 
その昔NRD-515が発売された当初は放送バンドも今では考えられないくらい混みあっていました。NRD-515の用途もDX一辺倒で、受信の困難な局を聞くため受信帯域も狭いのがあたりまえ。当然オプションのフィルターも0.6kHz、0.3kHzのCW用超ナローフィルター!
 
NRD-515に使用されているデフォルトの6kHz、2.4kHzのフィルターはDX用としてAMワイド、AMナロー、SSB用を想定した場合、ベストの選択だと思います(6kHzは実際には多少狭く4-5kHzの印象ですが)。
 
月間短波1981年4月号の特集で「ポータブルも通信型もみんなまとめて*****BCL受信機総点検」でNRD-515の評価としてDX向として★★★★★とされているもののリスニング向としては★★★とされていました。DX向きとすれば必要十分でもリスニング用とすれば物足りない・・・・。今年NRD-515を入手して使ってみた印象もその通りでした。
 
現在NRD-515はDX用としてのAMのサイドバンド受信には少し無理があるためリスニング用として使用しています。このフィルターボードを装着したNRD-515を1981年当時のOMさんたちにお使いいただいたならば間違えなくリスニング向の評価も★★★★★になっていたのではないかと思います。
 

2018年10月27日土曜日

NRD-515用自作フィルターボード



ご無沙汰しています。

7月にやって来たNRD-515ですが、本体にはいくつか問題点があり普段使いに支障がない程度に手を入れた後、お休み前のラジオ深夜便ラジオとして活躍しておりました。

ところでこのNRD-515、オプションフィルターは装着されておらずフィルタースロットは空いたままです。オプションのCWフィルターには興味はありませんが、AM、SSB用のフィルターで515で試してみたいフィルターはいくつかあって、今回フィルターボードを自作していくつかフィルターを装着してみました。

フィルターボード
上CFJ455K12 2.7kHz 下CFR455H 6kHz

フィルターボードにはサンハヤトのUK-10P-67を加工し使用しました。フィルターはSSB用にCFJJ455K12(2.7kHz)、AM用にCFR455H(6.0kHz)を乗せて見ました。

NRD-515本体の回路には手をつけず、フィルターボード上で330μH、10mH、220pF、0.01μFを取り付けてマッチングをとっています。
フィルタボード裏面(空中配線です)

使用感です。CFJ455K12はデフォルトの国際のメカニカルフィルタ(MF-455-10AZ)より帯域が広いものの損失が多く、CFR455HもCLF-455D6Sと比較すると若干帯域が広くクリアな音質ですが、帯域外減衰が悪く、隣接チャンネルのビートが気になります。

フィルター本体と回路とのインピーダンスのミスマッチが悪さをしているのかもしれません。

今後はNRD-515本体の定数をいじって試してみたいと思います。

2018年7月26日木曜日

NRD-515がやってきた!④

 整備後エージング中のNRD-515

NRD-515の整備を行いました。
以下の問題点に対して現時点で対応可能な対策を施し自己採点では85点。

問題点は

①受信周波数が約1kHzずれる。
②AM受信の際に「キーン」とビート?内部スプリアス?が聞こえて耳障り。
③SSB、CWでキャリアポイントがずれている。
④時にSメーターが+20dBほど振れて受信不能となる。
⑤BFO&BC TUNE、ΔFのつまみが純正でない。
⑥受信感度若干低い、特にSSB受信で著明。
⑦長時間電源をOFFにしているとkHzのPLL情報がリセットされる。

です。

先日いろいろ検索していてWRTH1982年版のNRD-515の記事を読みました。問題解消のヒントが書かれていました。

①~③については製造後比較的早い時期に生じるPLLのずれが原因のようで、取扱説明書にも詳しく調整方法が書かれているのはそのためのようです。
⑦についてはそもそも設計当初からVFO情報を保持するキープアライブ機能がないとのこと。TP35にバックアップバッテリー(3-4.5V)を取り付ける事によりVFO情報を保持できるようになるとのことでした。

またWRTHには書かれていませんが検索結果から
④についてはVFOの切り替えリレーの接触不良。
(⑤は対策済み)
⑥は2.4kHzの国際電気のメカニカルフィルター(MF-455-10AZ121)の劣化(内部スポンジの劣化による固着)が原因だとか。


まずは前回不首尾に終ったPLLについて再度調整を行います。今回はPERSEUSを使用して調整しました。

PERSEUSを立ち上げて10MHzの標準電波を受信しキャリブレーションを取ります。その後はマニュアルに従って10MHzの基準周波数、PBTの5MHz、ΔFの38MHz、BFO回路と調整を行いました。70MHzについてはPERSEUSでは測定困難なため中国製のデジタルオシロスコープを使用しました。

今回は調整は1回ではなく、スーパーラジオのトラッキング調整のようにそれぞれのステップを繰り返しておこないました。一度合わせても再度の調整では微妙なずれが生じている事もあり、ずれがなくなるまで調整を数回繰り返しました。

 チェックポイントにプローブを接続しているところ
 10000.000kHz調整中

今回の再調整により①~③の問題はほぼ解消されました。前回は調整が甘かったのが不首尾の原因のようです。

次いでリレーの接触不良について対策を行います。NRD-515には5個のリレーが使用されていますが私の個体には4個が密封型、1個が開放型のリレーが取り付けられていました。問題なのは開放型のリレーで、これがVFOの切り替え用として使用されています(後期のロットではすべて密封型のリレーが取り付けられているとのこと)。

カバーを取り外し、リレー接点をブロー後接点回復剤を綿棒に染ませてクリーニングを行いました。
これによりこれまで1日に数回は生じていた接触不良がここ2日全く起きていません。根本的な対策にはリレー交換が必要ですが今回はこれで様子を見ることにします。

 VFO(内部/外部)切り替えリレー(上蓋を外した状態)

続いて国際電気のメカニカルフィルターのクリーニングを行いました。2.4kHzのメカニカルフィルターと6kHzのセラミックフィルターではSメーター読みで1目盛り違います。

国際電気のメカニカルフィルターMF-455-10AZ 121はディスクワイヤー方式のメカニカルフィルターでメタルケースの内部にトランスデューサー、共振子がスポンジに包まれて位置しています。

スポンジの劣化(特に共振子の下のスポンジ)が共振子の振動を制限して損失が大きくなるとか。メカニカルフィルターを取り外し、内部を洗浄後再度NRD-515に取り付けました。

 MF-455-10AZ 121 内部スポンジはボロボロです
 MF-455-10AZ 121 クリーニング後
 
メカフィルの洗浄後は損失もほぼなくなり、Sメーター読みでもセラミックフィルターと同等(0.1目盛りほど低い)となりました。
 
最後に中波帯(0.6-1.6MHz)の5dBの減衰器(ATT)を解除しました(R5,R6を取り外しジャンパーの取り付け)。当地はさほど強電界域ではないのでATT解除後もMW受信でお化けの発生もなく感度アップを体感できました。


中波帯の5dBATT(減衰器)

VFO情報のキープアライブ機能についは次回に報告予定です。

2018年7月17日火曜日

NRD-515がやってきた!③


先日やってきたNRD-515ですがいくつかの不具合がありましたが、さらに新たな問題点が見つかりました(⑦が追加)。

①受信周波数が約1kHzずれる。
②AM受信の際に「キーン」とビート?内部スプリアス?が聞こえて耳障り。
③SSB、CWでキャリアポイントがずれている。
④時にSメーターが+20dBほど振れて受信不能となる。
⑤BFO&BC TUNE、ΔFのつまみが純正でない。
⑥受信感度若干低い、特にSSB受信で著明。
⑦長時間電源をOFFにしているとkHzのPLL情報がリセットされる。

このうち①~③については先日マニュアルに従ってPLLの調整を行ったところ一旦は改善したことは先日のブログに紹介させていただきました。

ところが翌日電源を入れてみると、もとのように周波数がずれてキーンとビートが聞こえてくるではありませんか。再びPLLの調整を行うと一旦は「改善」するものの、その後電源を落とししばらくして電源を入れるとまた症状が再発します。

ただしキーンというビートに関しては電源をONにして時間がたつと気にならなくなります。周波数ずれについてもPLLの調整を繰り返すことにより改善されてきてはいます。

また新たに前述の問題⑦にも気が付きました。長時間電源を切っていた後に電源をONにした場合、kHz台の情報がリセットされ”000.0kHz"と表示されてしまいます。DIGITAL VFOの情報を長時間保持できないようでPLL系のハードの異常が示唆されます。

単に調整だけすれば改善するような個体ではないようで、このまま自分でトラブルシューティングをしていくのか専門の業者さんにお願いするのか悩ましいところです。

ところで不具合の⑤については何とかツマミを入手することができました。ブログトップの写真は入手した純正品のツマミを付け替えて撮影したNRD-515です。ただこの写真の515もデフォルトの状態とは微妙に違います。それでも我が家にやってきた当初の違和感はかなり改善されました。

つづく

2018年7月10日火曜日

NRD-515がやってきた!②

 NRD-515とNDH-515

一昨日やってきたNRD-515ですがしばらく使い込んでみるといろいろと不具合に気が付きました。

①受信周波数が約1kHzずれる。
②AM受信の際に「キーン」とビート?内部スプリアス?が聞こえて耳障り。
③SSB、CWでキャリアポイントがずれている。
④時にSメーターが+20dBほど振れて受信不能となる。
⑤BFO&BC TUNE、ΔFのつまみが純正でない。
⑥受信感度若干低い、特にSSB受信で著明。

おおよそ上記の6点がその問題点です。

ブログトップの写真はNRD-515とメモリーユニットNDH-515の写真ですが、氏が35年前にインプットしたと思われるチャンネルの一部を表示しています。その他のメモリーでも1kHz低い周波数が表示され当時から①の問題は生じていたのでしょう。

①、②、③についてはなんとなくPLLの調整不良かなぁ?と素人ながら感じるところがあり、取扱説明書の保守点検の項目に従ってオシロ片手に整備を行いました。

第2局部発信器70MHzの調整中

PLLのそれぞれのチェックポイントで微妙に周波数がずれており、規定の周波数に調整後は①~③の不具合については解消できました。

④、⑤、⑥についてはまた後日。

2016年7月9日土曜日

PLJ-6LED-A

写真はPLJ-6LED-AのGreenとRed

ここ何度か登場している中華カウンターです。
実は2個購入していました。写真では9R-59Dの局発から出力した信号を2分配してそれぞれのカウンターで表示しています。

ノイズの発生がありアンテナコイルの近くに設置するとまともに受信できなくなります。局発のカソードに適当なバッファーアンプを介して接続し、カウンターを受信機外部で使用すれば実用になります(受信機、あるいはカウンターのケース、またケーブルがシールドされていることが必要)。

入力レベル管理が必要で強過ぎてもまた弱くても正確にカウントされなくなります。
現在TTT加藤氏のバッファーを使用していますが、バッファーから直接カウンターに入力するとBバンド低域で動作が不安定となり2倍の周波数が表示されました。

入力制限に1kΩの抵抗を直列にいれるとA-Cバンドは問題なく表示するようになるものの今度は28-29MHz以上で下3-4桁の表示がふらつき安定しません。最終的に330Ωの抵抗を入れたところ全バンドで正常にカウントするようになりました。

ちなみにV3 6AQ8(ECC85)の半分にIZ5PQT氏のバッファーを組み込んで使用した場合、入力レベルが低くなるためかカウンターの入力抵抗を取っ払っても28MHz以上で下3-4桁の表示が不安定となります。現在バッテリー駆動にしていますが電源電圧が低下するとこの傾向が顕著となります。

見てくれのよさに引かれて使っていますがなかなか手ごわい相手でした。

PLJ-6LED-A(諸元表)

測定周波数:0.1MHz~65MHz
最小測定単位:10Hz
ハイインピーダンス入力:60mVPP以上
ゲートタイム:0.1sec(display refresh)
メインチップ PIC16F628A TXCO ±2.5PPM
表示最小桁を10Hz/100Hz切替可能 IFオフセット設定可能 8段階の表示輝度調節可能
LED文字高さ:約14mm
電源電圧:8-15V
動作電流:6mA(最大90mA)
サイズ(約):91mm×28mm×20mm
重量(約):33g

タクトスイッチ使用法
上側スイッチ
1回目で・・・IFオフセット周波数設定
 ①上側スイッチを1度押すと最大桁(左側)が点滅
 ②下側スイッチで数値を決定し、次の桁に移る場合は上側スイッチを押す
 ③全ての桁が終ると一番最初の桁に戻り、もう一度上側スイッチを押すとIFプリセットへ移行
 ※中間周波数が455kHzの場合は00.455.0に設定する。
2回目で・・・IFプリセットのプラス、マイナスを設定
 n表示でプラスIF、u表示でマイナスIFとなる。
 ※9R-59Dなど上側ヘテロダインのシングルスーパーでは"u"マイナスを選択。
3回目で・・・表示輝度設定(8段階)

下側スイッチは周波数表示状態で押すと最小桁の切替を行う。

「Wコールがききたくて」総合索引へ

2016年7月4日月曜日

9R-59D 引張り現象

左はユニバーサル基盤に組んだ外部カウンター用の半導体バッファー
下の回路図はトリオJR-60の局発部分

ここ2-3ヶ月は山にもほとんど行かずひたすら9R-59Dと遊んでいました。詳細は後日報告しますが9R-59Dの局発の引張り現象が気になるためV3 6AQ8の残り半分にカソードフォロワーのバッファーアンプを組み込みました。

それまで6AQ8の半分には外部周波数カウンターの取り出し用にバッファーを組んでいたのですが今回これを取り外しJR-60の回路図を参考に同じくカソードフォロワーのバッファーを組み込みました。

このため外部カウンター用には別途バッファーアンプが必要になります。9R-59DS1号機同様にJA9TTT加藤氏の2SK241と2SC1923の2石アンプを組み込みました。

結果です。
引張り現象については
①Cバンドの10MHz以上で見られたフェーディングによる周波数の揺らぎ(1.5-2.0kHz程度見られた)が最大0.5kHzに軽減(これはAGC電圧の変動による局発の電圧変動の関連も否定できない)。
②Dバンド21MHz以上でアンテナトリマーを操作した際に見られた1-5kHzの周波数ずれがこれまた最大0.5kHz程度に改善されました。

外部カウンター用のバッファーについては6AQ8のバッファーと比べ出力がアップしたためか2-3MHzでカウンターが暴走(倍の周波数が表示される)、入力の制限のためカウンター入力部に330Ωの抵抗を取り付け0.5-30MHzで安定して動作するようになりました。

ちなみに6AQ8のバッファーを使用した場合29MHz以上では動作が不安定で周波数表示の下3-4桁が暴れます(入力の制限抵抗無しの状態)。

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2016年6月12日日曜日

9R-59D Dバンド トラッキングのなぞ

 9R-59D3号機、デジタルカウンターと交換したVR

前回のブログで書いたデジタルカウンターの電池がなくなりました。連日1-3時間の使用で4週間を過ぎた頃からLEDの輝度の低下があり、5週間目の昨日動作が不安定となってしまいました。1日平均2時間として35日、70時間の寿命でありました。今度は二次電池のエネループで駆動時間を確認予定。

ところでここ1-2ヶ月9R-59DSをさわっていて気がついたことがあります。そのひとつがDバンドのトラッキングのこと。

9R-59D(S)の局部発振6AQ8の周辺のパーツを取ったり付けたりしていてそのつどトラッキングを取り直すのですが、Dバンドでは毎回トラッキングが大きく変わります。Dバンドの低いほう(13MHz)は合わせることができるものの高いほう(26MHz)がどうしても上がらず合わないことが多々ありました。

数年前59DS1号機の局発とコイルパックの間の結合コンデンサー(キョウトAA347さんへは間違ってパッティングコンデンサーと送ったのがそのまま掲載されていますが・・・)を交換したところそれまで上がらなかった26MHzが合うようになりました。

当時はてっきり結合コンデンサーの劣化が原因と思っていたのですが、その後検証してみても240pFのマイカの値は大きくは狂っていなく、、今回の3号機(1号機の時も)のパーツ交換でも何度かDバンドの26MHzが合わなくなることがありました(最終的には結合コンデンサーの劣化で正解だったんですが・・・)。


最近デジタルカウンターを装着して常に受信周波数をモニターしながら整備していてふと思いついたのですが、59DSの裏ブタをはずした状態とつけた状態では周波数が大きくずれます。その原因ですが裏ブタと個々のパーツとの間の浮遊容量が変わり局発の周波数が変わるんじゃないの?と

そうなるとDバンドのトラッキングが狂う件にも答えがなんとなく見えてきます。シャーシと局発周りのパーツの配置によって浮遊容量が変わってトラッキングが取れなくなるのではないかと。

局発の周囲のコンデンサーをシャーシに対して垂直にした場合(図1)と水平(平行)にした場合(図2)でのトラッキングの状況を調べてみると・・・

 図1 コンデンサーをシャーシと垂直に配置
図2 コンデンサーをシャーシと水平(平行)に配置

図1の場合では26MHzが調整範囲に入りますが、図2では局発のトリマーを調整しても上がりませんでした。コンデンサーとシャーシを平行とすることでシャーシに対する投影面積が大きくなりその間で形成される浮遊容量が増加しているものと考えられました(逆にシャーシに対して垂直にすると面積が減る→容量が減る→同調周波数が上がる)。
 
この59Dはメーカー組立品と思われますが、他のコンデンサーを見てみると全て立てた(垂直)状態で配置されています。きっとこれは先人の皆さんの常識だったのでしょう。素人の私にはとても新鮮に感じました。
 
1号機の結合コンデンサーも多少の劣化がありキャラメルマイカの電極が不安定となりストレーが増大して26MHzが下がりきらなかったでしょう。現代の小型マイカに交換したことで浮遊容量が減少し局発のトラキングが合うようになったと考えるのが正しいように思えました。
 
日々疑問を感じながら工作を行うことの楽しさを実感した一瞬でした。
 
 
 

2016年5月31日火曜日

9R-59D(3号機)

 デジタル周波数カウンターを装着した9R-59D(3号機)

3台あった59D(S)ですが、そのうち9R-59DS(1号機)のレストアを今年春の大型連休で行い先日キョウトAA347さんのもとへ送り出しました。勢いのある今のうちにと残り2台のうち59D(3号機)の整備を一昨日から始めました。

基本的には動作品でしたがいくつか問題があり、そのうち1つはAF GAINを最小にしても音が絞り切れないという現象でした。

AF段のコンデンサー、抵抗の劣化を疑い交換したものの依然音が絞りきれません。基本に立ち返り思いついたのがAF GAINの500kΩAのボリュームの異常。

59DSの1号機ではAFボリュームのガリがひどく早い段階で交換していましたが、この3号機はガリもなくスムーズに回るので油断していました。交換してみるときっちりと音が絞りきれるようになりました。残留抵抗が1.2kΩありそれが原因だったのでした。

次に行ったのが周波数表示をデジタルにすること。毎日拝見しているTakinxさんのブログで今年3月から4月にかけて「ノイズの多い中華カウンター」の記事を目にしました。結論として30dB程度S/Nが悪くなり、電源をはずすと静かになるとのこと。
 ノイズの多い2000円程度の中華カウンター

9R-59Dではシールドがしっかりしており、また現在使用している外部アンテナも自宅の屋根の上、地上高10mとカウンターから十分に距離がとれることから2000円の投資を行いました。
 カソードフォロワのバッファーアンプ

カウンターの取り出しには1号機ではJA9TTT氏の2SK241と2SC1923の2石のバッファーアンプを使用しましたが、今回は先人のお知恵を拝借しV3(ECC85;6AQ8)の空いている3極部を使用したカソードフォロワのバッファーを組み込みました(ECC85、9R-59Dで検索すると上位に表示される海外のサイト)。
プレートの150Ωは手持ちの関係で180Ω(この抵抗だけ1/4Wですが入手できれば1/2Wに交換予定)にしています。0.01uFは足の長さにより500V、1kVを使い分けています。3-7間の10pFは耐圧50V。
背面のカウンター出力端子
 
本体からの取り出しにはアンテナ端子のアース側を撤去、そこにBNCJを配置しました。カウンターの電源を入れて本体に接続してもS/Nの悪化は認めません。Aバンドの0.55MHzからDバンドの30MHz+αまできっちりとカウントしてくれます。
 
現在単三6本のバッテリー駆動で毎日1-3時間程度の使用で3週間経過しましたがまだ電池の交換は必要ありません。いつまで電池がもつかは今後報告さていただきます。
 

2016年5月8日日曜日

9R-59DSを整備しました

写真は9R-59DSと取り外したパーツ類

先日のブログで老朽化した59D(S)3台が手元にある話をしました。今年の大型連休でこのうち1台を若返らせるため交換可能な電子部品(コンデンサー、抵抗)を入れ替える作業を行いました。

現存する真空管式受信機の大半は製造から半世紀以上が過ぎ、その中で使用されているパーツも劣化が進行し動作すらしないものや、動作はするものの製造当時の性能を発揮できないものが多く見られます。キョウトAA347さんから里帰りした59DSも「なんとなく調子が良くない、元気がない」と、まさに初老の私のような状態(笑)。

電子機器の電解コンデンサーなど寿命の短いパーツなどを予防保守的(本来保守とは性能を保つために行うもので、予防保守とは不自然な言葉ですが・・・)に交換することで設計段階の性能を維持することをリキャップと呼ぶようで、これを行ってみることにしました。

9R-59DS整備前
 
セラミックコンデンサーや抵抗はあまり劣化がないとされますが今回はこれも全て交換します。取り外したあとそれぞれのパーツの値を測定していきます。AF基盤、IF基盤、高周波増幅回路、局部発振回路、コイルパックのBバンド、Cバンドのパッティングコンデンサーも全て交換しました。

電源ラインは各部の電圧が問題ないので今回は手を付けずにおきます。問題はコイルパックのDバンド局部発振コイル。これまでDバンドのトラッキングがうまく取れないといった問題があり(13MHzは合うものの26MHzが合わない)、コイル二次側のトリマーとパラに入っているコンデンサーがあやしいと狙いをつけていました。

ところがこのコンデンサー、コイルパックをシャーシから取りはずさないと交換どころかその顔を拝むことすら出来ません。四苦八苦しながらコイルパックを取り外しようやく本丸にご対面です。

Dバンド局部発振コイルとコンデンサー(交換前)
取り外したコイルパック(コンデンサーは交換済み)

 
 
ちなみにDバンドの局発コイルとパラに入るコンデンサーはセラミックの7pFで温度補償は緑(-330ppm/℃)。同じものは入手出来ずとりあえず温度補償無しのセラミック3pFに交換(あとで容量が足りない場合はさらにパラに追加で調整できるように少なめで)。
 
Aバンド高周波増幅コイルとパラに入るコンデンサー
 
Aバンドの高周波コイルの一次側に入る50pFのコンデンサーも51pFのシルバードマイカに交換しました(500pF、510pFではありません)。

セラミックコンデンサーはおおよそ10%程度の変化ですが、それ以外のコンデンサー(マイカも含め)では大きく値が違っているものが多く認められました。抵抗についても10%以上の変化(たいていは増加)しているもがもいくつかありました。

これらの一つ一つのパーツの差が積み重なり、回路の多くで動作点がずれて増幅率に影響し製造当時の性能が発揮できず「なんとなく調子が良くない」状態だったのでしょう。リキャップ後は感度も良くなりNRD-545と比較しても見劣りしません。スピーカーから流れる音も見違えるように豊かになりました。

問題のDバンドは3pFだけだと局発は13-26MHzと調整範囲にはいるものアンテナコイル、高周波コイルとの同調が取れず感度ががた落ちです。最終的に4pFを追加して設計通りのトータル7pFとしてトラッキングが取れるようになりました。
9R-59DS整備後
 
これらの交換が全て終わり、調整、その他整備が済んだのは5月7日の15時ころ。5月7日16時からCOLさん宅でミニペディ(受信会)を予定していて何とかそれに間に合わせました。

ミニペディではCOLさんのNRD-545と強力な局を中心に比較しましたが全く引けをとりません。10年前のミニペディの際には惨敗だったのがうそのようでした。

若返った9R-59DSで現在17705kHzのインドからの中国向け中国語放送のあやしげな音楽を聞きながらこの原稿を書いています。

2016年4月30日土曜日

9R-59D(S)が3台

9R-59D(S)が3台になりました

ご無沙汰しています。ここしばらくいろいろ多忙でブログを更新できずにおりました。その1つの原因が上の写真です。

昨年キョウトAA347さんから不調のため里帰りしていた59DS①、手持ちの59DS2号機②そして今年4月にミーティングのOg氏からお譲り頂いた59D③の3台です。それぞれに40年以上経過したご老体であちこちにガタがきています。

③を4月上旬に持ち帰ったところ電源は入るものの受信せず、裏面のUSプラグが付いておらず①から一時的に差し替えたところ受信するようになりました。トラッキングを取り直すとそこそこの感度で受信するようになりました。

この連休で整備すべくパーツをいろいろと発注し、昨日までに9割がたのパーツが集まったため整備を開始しました。経過はぼちぼちとアップしていきます。

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2016年1月1日金曜日

BeverageアンテナとTDDFアンテナ

本年もよろしくお願いいたします。
旧年中は大勢の皆様方に当ブログをご訪問いただき誠にありがとうございました。本年も引き続きさまざまな趣味の世界を綴って参ります。
 
まず今年最初のお題はTDDFアンテナ。シエスタ氏が昨年4月にアップされたTDDFアンテナを2015年秋のびわ湖ペディションで試して非常にいい感触を得ました。その第一報については先日のブログに掲載しましたが今日のブログではもう少し詳しく報告したいと思います。
 
 びわ湖ペディションでのビバレージアンテナとTDDFアンテナの受信音をいくつか比較してみたいと思います。ともに受信機はPERSEUSでCOL氏と私が別々に記録したものをそれぞれ再生しwmaファイルで録音しました(ビバレージの受信音はCOL氏のご好意により提供いただきました)。
 
まず夕方18時のKDIAのID部分です。
やはりビバレージで信号強度が強くSINPOで35232、TDDFでは信号は弱いもののノイズはさほど気にならず25332。それでも十分に内容が聞き取れるレベルです。これがALA1530なら音にはならずキャリアが辛うじて拾えるところかと。
 
続いて23時のKFOXのID部分。
この日はお空の状態が少し荒れていました。どちらのアンテナともに音になっていて信号の強さはほぼ同じ。ただしノイズの性状が違います。ビバレージでノイズが荒く、TDDFでノイズが細かく聞きやすく感じます。
 
COLさんにもお聞きいただいたところ「気仙沼で経験した、夕方はビバレージがDFに優勢、夜はビバレージとDFが同格か、時にDFが優勢という現象を思い出します。」とのこと。
 
このノイズの性状、受信時間による受信状況の違いを思いつくままに考えてみることにします。以下に1650kHzにおける300mビバレージと21mTDDFアンテナのシミュレーション結果を並べてみました。
 
ビバレージとTDDFの特性比較;黒は垂直偏波、赤は水平偏波
(TDDFではアンテナ条件を最適化できていなく指向性が乱れています)
 
まず利得の面を見てみます。ビバレージで絶対利得-1.23dBiでTDDFではなんと-40.33dBiと約40dB低く、普通に考えれば使い物にならないように思えます。が逆にこの利得のなさが余計なノイズを拾いにくくしている可能性が考えられます。(実際にはFLG100のアンプによる18dBの増加と4分配による6dBのロスがあり最終的にはビバレージ比で約-30dB弱、分割せずに直接比較していたとすれば-20dB強の差に縮まります。)
 
次に指向性の面。ともに打ち上げ角が低く、指向性も鋭く(TDDFで多少ブロードですが)DX向きのアンテナであることには変わりないのでしょうが、TDDFで水平偏波に対する指向性がビバレージに比べ若干少ないように思えます。これが夕方と夜の伝搬の偏波面の違いを感じているのでしょうか?
 
またスモールループとして動作するTDDFとワイヤーアンテナであるビバレージの磁界成分、電界成分に対する感受性の違いがノイズの違いになっているのかもしれません。
 
今回のペディションではビバレージアンテナ、TDDFアンテナそれぞれに優れた特性を実感できました。どちらがより優れたというものではなく今後のペディションでは同時に設置することでそれぞれのアンテナの特徴を生かしより多くのDX局を受信していきたいと思います。
 
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2015年12月26日土曜日

TDDF (Twisted Double Delta Flag) Antennaの経験

 今年(2015年)4月にシエスタ氏がアンテナ・技術掲示板に「TDDF(Twisted Double Delta Flag)の実験について.pdf」をアップされました。1週間限定での公開でしたのでその原文を目にすることはなかったのですが追試された皆さんの評判が非常に良いことから先日(2015年11月21-22日)のびわ湖ペディションで遅ればせながらTDDFアンテナを試してみることにしました。

 -TDDFアンテナとはどんなアンテナか-
図1 TDDFアンテナ模式図
 図1に今回設置したTDDFアンテナの模式図を示します。2つのデルタ型のループがねじれた状態で連結しており給電部にマッチングトランス、遠位端には終端抵抗を設置します。
 ペディションで通常使用するビバレージアンテナでは終端抵抗側に鋭い指向性を有しますがTDDFアンテナでは指向性がビバレージとは逆になり給電点側にフロントゲイン、終端抵抗側にはNullが現れます。
 今回は26mのエレメントを2本使用し給電点の地上高0.5m、アンテナのトップが5.8m、給電点から終端抵抗までは21mとなりました(立木やエレメントの長さの関係で中途半端な数字となっています)。

 -TDDFアンテナの特性(DFアンテナと比較して)-
図2 DFアンテナとTDDFアンテナのシミュレーション結果
 DF(Delta Flag)アンテナとTDDFアンテナの特性の違いをアンテナ解析ソフトMMANAでシミュレーションしました。図2に1200kHzでのDFアンテナとTDDFアンテナの計算結果を提示します。
 アンテナ特性を計算するにあたってアンテナ形状は同じサイズのDFアンテナを2個ならべたものをTDDFアンテナとしました。それぞれのアンテナで最良のFB比が得られる終端抵抗の値が異なるためDFアンテナで470Ω、TDDFアンテナでは1300Ωで計算を行っています。
 計算結果からはDFアンテナではカルディオイド型(ハート型)を呈し半値角は160度。対してTDDFアンテナではウチワのようにやや両サイドがやや切れるようなパターンとなり半値角も100度と指向性が鋭くなります。
 またTDDFアンテナで打ち上げ角がDFアンテナの37度から30度と低下し、FB比が19.5dBから22.8dBと改善しています。
 利得の面ではDFアンテナの-37.4dBiに対してTDDFアンテナは-46.6dBiとさらに約10dB低下します。アンテナ面積は2倍になるので利得が増加しそうなものですが位相が打ち消され指向性が向上する反面絶対利得は低下するのでしょうか。

-実際の架設状況-
 図3 TDDFアンテナ給電部から
図4 TDDFアンテナ終端抵抗から
 図3、図4に今回のびわ湖ペディションでの架設状況を示します。宿舎前の湖岸から約50m東北東の松林内に北東(45度)向きに設置しました。
 アンテナの架設には5本の杭が必要ですが、今回は立木や既存の杭を使用したため3本の木製杭(径30mm全長100cm)を打ち込みました。アンテナマストには魚釣用のタモ網の柄(全長6.3m)を使用しました。グラスファイバー製を推奨されますが入手困難(あっても高価なため)で安価(3000-5000円程度)なカーボンロッドを用いています。
 アンテナエレメントが分かりやすいように架設には黒と赤の0.75sqのコードそれぞれ約26mを用いました。アンテナエレメントは地面から少なくとも0.5mは離します。また同軸ケーブルはアンテナ面に対して垂直になるように給電しました。
 終端抵抗はシミュレーターによるとTDDFアンテナで0.8-1.3kΩ前後でFB比が良好となるようで、できれば可変にしたかったのですが時間がとれなく970Ωの固定としました。
 引き込みには5D2Vを75m用いました。同軸ケーブルとアンテナ給電部には16:1あるいは25:1のバランが必要となりますが今回は以前FLAGアンテナ用に購入したWellbrook社のFLG100(無印)を使用しました。
 FLG100(無印)にはハイインピーダンスマッチ回路と利得18dBのトランジスタアンプが内蔵されています。現行品のFLG100LNでは利得23dBのFETアンプへと変更されているようです。

 -受信してみて-
 利得が低いこともあるのでしょうが非常にノイズレベルの低いアンテナです。
 現地で聴いた限りS/Nや信号強度はNsさんの200mビバレージとはほぼ同等、またCOLさんの300mビバレージと比較しても多少劣るものの弱い信号を拾う能力についてはいい勝負をしているとの印象でした。
 一方で差がでたのはやはり指向性の点。1700kHzのESPNの受信時に1650-1710kHzに出ている妨害電波がお二方のビバレージと比べTDDFではより強く入感していました。
 当初心配していたゲイン不足についてはFLG100のおかげで実用上十分なレベルでした。ただしアンプの電源を落とすと18dBの恩恵がなくなりMWからSW全域でかなり厳しい状況となります。
 個人的感想ですがMWからSWローバンドの受信状況を☆で評価すると(ALA1530は昨年春のペディでの使用感)

300mビバレージ   ☆☆☆☆☆ 
200mビバレージ   ☆☆☆☆3/4
TDDFアンテナ      ☆☆☆☆1/2
ALA1530               ☆☆☆

-その他思いつくまま-
 以前COLさんがK9AYアンテナを紹介されて以降一時期EWE、FLAGなどカルディオイド指向性を有するループアンテナに興味を感じていました。その後のペディションでDFアンテナを試したものの期待したほどの効果が得られず一旦は興味が薄れてしまいます。
 転機は今年5月。シエスタ氏が4月に公開されたTDDFの記事の評判を目にしたことです。原本にはお目にかかっていませんが文字通りDFアンテナを一ひねりした形状で皆さんの評判が非常にいい。
 ただしTDDFアンテナで検索してみましたがヒットするのは国内のものばかり。いろいろと調べてみるとどうやらAA7JV氏が2009年に開発されたDHDL(Double Half-Delta Loop)アンテナがそのご先祖様のようで、直接的には2014年にMark Durenberger氏が発表されたDouble-Delta/"D-KAZ"アンテナの類縁にあたるようでした。
  ミュレーションしてみると2本のFLAGアンテナをアレイにしたような指向性で、混合器や大きな設置場所を必要とせずアンテナ形状の変更だけでその特性を得られるとのことでいつかはチャレンジしてみたいと思っていました。
  以前DFアンテナを試した時にはビバレージとの格の違いを感じていましたが今回経験したTDDFアンテナでは受信性能、特に弱い信号を拾い上げる能力についてビバレージアンテナにせまる特性があるように感じました。利得が低いことと指向性が鋭くなったことがノイズ軽減に一役買っているものと考えられます。
 ビバレージアンテナの性能についてはみなさんの異論のないところだと思いますが設置に要する敷地の問題があり日本で使用しようと思っても場所やビーム方向にかなりの制約が出てきます。この点でTDDFアンテナではサイズもコンパクトで設置場所の制限が緩和され、またビーム方向の自由度も格段に上がります。
 ただ今回の経験で気になる点もあります。湖岸の限られたスペースにビバレージを含め3本のアンテナを架設したためTDDFアンテナの終端抵抗近くを300mと200mの2本のビバレージアンテナが通過していたことです。ビバレージの干渉によりTDDF本来の性能以上に過大に評価されている可能性も否定できないからです
 今後のペディションではビバレージのアンテナエレメントを意識した設置場所の選定、混信局を避けるビーム方向の検討や終端抵抗の可変化などに取り組んでいきたいと思います。

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