2022年7月9日土曜日

ICOM AD-55J 修理した

ICOMのAC-DCアダプターAD-55J

前回に引き続きIC-R8500にまつわるお話です。

実は私のR8500にはS-メーター以外にもう一つ不具合がありました。それはボリュームを一定に保っているのにもかかわらずAF音が変化するという不具合です。

具体的には

Cold状態から電源をONにすると普通に受信音が聞こえてきます。それから注意深く聞いていると、じわじわと受信音が大きくなってきます。無限に大きくなるのではなく、数分たつとプラトーに達してそれ以上は大きくなりません。

音量が一定に達した後に電源を一旦OFFにして、その後すぐに電源をいれてみても音量に変化はありません。

お休み前に聞こえるか聞こえないかのギリギリの音量でラジオを聞く私には、この不具合は非常に面倒くさいものです。電源ONでお休み用の音量に設定して一旦寝床に入りますが、その後数分して寝床を抜け出してまた音量調整をしなくてはなりせん。

今回ICOMのリペアセンターさんにはSメーターの不調とともに、受信音の不具合についても対応をお願いしたのでありました。

リペアセンターさんからのお返事は

「ご指摘のAF音が変化する現象を確認しました。付属のACアダプター(AD-55J)が故障しており、出力電圧が低下しております。AD-55Jの販売は終了しており、在庫もございません。申し訳ございませんが、外部電源装置(13.8V)をご用意いただき、付属されているDC電源ケーブル(OPC-023D)を使用して頂けるようお願いいたします。」

といったものでした。

R8500本体ではなく、ACアダプターならパーツも大きいことだから何とかなるんじゃないか?と思い、とりあえずACアダプターをばらしてみました。

図1 AD-55J内部

AD-55J内部にはトランスとダイオードブリッジ、平滑のコンデンサーなどが収められていました(図1)。

ACアダプターに負荷をかけない開放状態での出力電圧は約20V。外見上は電界コンデンサーの腹ぼてでもなく、ダイオードの焼損も見られません。ただ、ダイオードの両端電圧にはばらつきがあり、ダイオードの不良が疑われます。

ダイオードブリッジ4本のうち何本かが不良のようですが、実装状態ではどれが不良かははっきりせず、すべてを交換することにします。

使用されているダイオードは1N5400(50V3A)、また念のため平滑の電解コンデンサーも交換することにします。ダイオードと電解コンデンサー25V6800μFはその日のうちにAmazonに発注しました。便利なもので翌日夕にはパーツが届き、交換作業に移ります。

取り外しにはパーツにダメージを与えないよう放熱クリップを使用して慎重にハンダと取っていきました。平滑の電解コンデンサーもあまり熱を加えないように、またトランス2次側のフィルムコンデンサーも取り外していきます。

取り外したパーツを調べてみると、ダイオード1本の故障(図2,図3)と、平滑の電解コンデンサーの容量抜け(図4)が確認できました。フィルムコンデンサーには不具合はなかったものの念ため交換です。手持ちパーツの関係でフィルムコンデンサ―は0.33μF→0.47μFに変更しています。

図2 正常なダイオード
図3 故障したダイオード(開放となっています)
図4 電解コンデンサーの容量ぬけ(6800μF→99μF)
図5 交換したパーツ
左が不良品 右は異常なし

電源電圧の低下の原因ですがダイオードブリッジの1本が開放状態となり、全波整流回路が半波整流回路となり整流効率が低下したため、定格の電流が流れた際の出力電圧が低下していたものと思われました。

図6 交換後の内部の様子
見た目は電解コンデンサーの色がかわったくらい

AD-55Jの修理も終わり、R8500に接続し電源を入れてみます。

さて、受信音はどうなったでしょう。聞こえるぎりぎりの音量でセットしてみます。うーん、時間とともに大きなっていきました。ただし修理前と比較しプラトーに達するまでの時間が若干短縮されているような印象です。

修理したかいはあったと思います。でもこれですべてが解決したわけでなくR8500本体側にも何らかの異常が存在がうかがわれますが、深追いはせずとりあえず今回のトラブルシューティングはここで終わることとしました。

最後に一言。実はAD-55Jを分解したところすでに一度分解された形跡がありました。おそらくはリペアセンターさんでも分解検査され、ダイオードの故障については把握されていたものと思われます。修理をお願いした際に2万円までと予算制限をしたため修理されなかったのかもしれません。今回の修理でのパーツ代金は1300円ほど。自分で交換したため技術料は不要で、SメーターとAD-55Jの修理の総額は2万円の予算内に収まりました。


2022年6月28日火曜日

IC-R8500修理に出しました

IC-R8500でNHK1大阪を受信中

ご無沙汰しております。

最近は山歩きもせず、ラジオ(DX局)もほとんど聞かない毎日が続いておりますが、唯一ほぼ毎日聞いているラジオが上の写真のNHK大阪第一放送局です。

ICOMのIC-R8500にALA1530LNPを5分配(2分配したうち1つをさらに4分配)したものを接続しています。聞こえるか聞こえないかのぎりぎりの音量で、お休み前に120分のスリープタイマーをセットし眠りにつきます。ALAの電源にも2時間のOFFタイマーにセットしています。

数か月前にシャックの大掃除を行いました。その際に久々にIC-R8500をまじまじと眺めたところSメーターの振れが渋いのに気が付きました。それがトップの写真のSメーターです。これまではNHK1大阪は少なくともS9+20-30dB程度は振れていたと記憶していたのですが、S5程度しか振れません。

アンテナの接触をチェックしましたが異常なし。受信感度が悪いわけではなく、中波帯から短波滞までNRD-545とほぼ同じ局が受信できます。またFM帯での受信状況もHF帯と同じでメータの振れだけが悪く、受信感度には問題ありませんでした。

Sメータ回路に問題があるように思われますが、単に調整がずれたのか、それともパーツの異常なのか・・・とりあえずサービスマニュアルを入手し、手持ちの機器を使用して可能な範囲で調整を行いました。

結果は・・・・やっぱり治りません。回路そのものに問題があるようです。さあーて、どうしましょうか?

IC-R8500はチップ部品が多用され、老眼に悩む私には拡大鏡を使用してもとても手ごわい相手です。たとえ不良部位を同定したとしても自分での交換はとても無理! 結局はアイコムリペアセンターさんにお願いしました。

2022/6/12(日)にリペアセンターに向け発送。6/13(月)には受領され、修理完了の連絡があったは6/21(火)でした。結果Sメーター回路の抵抗器1個の不良とのこと。パーツ交換と全バンド、受信感度点検を実施し、定格内を確認していただきました。6/23(木)には厳重に梱包されたR8500が手元に届きました。

手元に戻るや早速ケースから取り出し視聴します。まず驚いたのは非常にきれいにクリーニングされていること!チリ1つありません。ぴかぴかです。きれいになった感動もそこそこにAC-DCアダプタ、アンテナを接続し電源をONにします。

図1 S6+25dBで元気よく振れるようになりました。

ほほぅ! NHK1大阪は気前よくS9+25dBで振れます(図1)。FM帯も以前の状態に戻っています。20年近く連れ添った相棒が元気になったことを喜ぶとともに、受信機本体に同封されていたチップ抵抗(図2)を見て、諭吉1人に英世4人が「安い!」と思った瞬間でもありました。

図2 同封されていた不良のチップ抵抗
ご利用ありがとうございました。の「と」の上にチップ抵抗あり