2016年5月8日日曜日

9R-59DSを整備しました

写真は9R-59DSと取り外したパーツ類

先日のブログで老朽化した59D(S)3台が手元にある話をしました。今年の大型連休でこのうち1台を若返らせるため交換可能な電子部品(コンデンサー、抵抗)を入れ替える作業を行いました。

現存する真空管式受信機の大半は製造から半世紀以上が過ぎ、その中で使用されているパーツも劣化が進行し動作すらしないものや、動作はするものの製造当時の性能を発揮できないものが多く見られます。キョウトAA347さんから里帰りした59DSも「なんとなく調子が良くない、元気がない」と、まさに初老の私のような状態(笑)。

電子機器の電解コンデンサーなど寿命の短いパーツなどを予防保守的(本来保守とは性能を保つために行うもので、予防保守とは不自然な言葉ですが・・・)に交換することで設計段階の性能を維持することをリキャップと呼ぶようで、これを行ってみることにしました。

9R-59DS整備前
 
セラミックコンデンサーや抵抗はあまり劣化がないとされますが今回はこれも全て交換します。取り外したあとそれぞれのパーツの値を測定していきます。AF基盤、IF基盤、高周波増幅回路、局部発振回路、コイルパックのBバンド、Cバンドのパッティングコンデンサーも全て交換しました。

電源ラインは各部の電圧が問題ないので今回は手を付けずにおきます。問題はコイルパックのDバンド局部発振コイル。これまでDバンドのトラッキングがうまく取れないといった問題があり(13MHzは合うものの26MHzが合わない)、コイル二次側のトリマーとパラに入っているコンデンサーがあやしいと狙いをつけていました。

ところがこのコンデンサー、コイルパックをシャーシから取りはずさないと交換どころかその顔を拝むことすら出来ません。四苦八苦しながらコイルパックを取り外しようやく本丸にご対面です。

Dバンド局部発振コイルとコンデンサー(交換前)
取り外したコイルパック(コンデンサーは交換済み)

 
 
ちなみにDバンドの局発コイルとパラに入るコンデンサーはセラミックの7pFで温度補償は緑(-330ppm/℃)。同じものは入手出来ずとりあえず温度補償無しのセラミック3pFに交換(あとで容量が足りない場合はさらにパラに追加で調整できるように少なめで)。
 
Aバンド高周波増幅コイルとパラに入るコンデンサー
 
Aバンドの高周波コイルの一次側に入る50pFのコンデンサーも51pFのシルバードマイカに交換しました(500pF、510pFではありません)。

セラミックコンデンサーはおおよそ10%程度の変化ですが、それ以外のコンデンサー(マイカも含め)では大きく値が違っているものが多く認められました。抵抗についても10%以上の変化(たいていは増加)しているもがもいくつかありました。

これらの一つ一つのパーツの差が積み重なり、回路の多くで動作点がずれて増幅率に影響し製造当時の性能が発揮できず「なんとなく調子が良くない」状態だったのでしょう。リキャップ後は感度も良くなりNRD-545と比較しても見劣りしません。スピーカーから流れる音も見違えるように豊かになりました。

問題のDバンドは3pFだけだと局発は13-26MHzと調整範囲にはいるものアンテナコイル、高周波コイルとの同調が取れず感度ががた落ちです。最終的に4pFを追加して設計通りのトータル7pFとしてトラッキングが取れるようになりました。
9R-59DS整備後
 
これらの交換が全て終わり、調整、その他整備が済んだのは5月7日の15時ころ。5月7日16時からCOLさん宅でミニペディ(受信会)を予定していて何とかそれに間に合わせました。

ミニペディではCOLさんのNRD-545と強力な局を中心に比較しましたが全く引けをとりません。10年前のミニペディの際には惨敗だったのがうそのようでした。

若返った9R-59DSで現在17705kHzのインドからの中国向け中国語放送のあやしげな音楽を聞きながらこの原稿を書いています。

0 件のコメント:

コメントを投稿