整備後エージング中のNRD-515
NRD-515の整備を行いました。
以下の問題点に対して現時点で対応可能な対策を施し自己採点では85点。
問題点は
①受信周波数が約1kHzずれる。
②AM受信の際に「キーン」とビート?内部スプリアス?が聞こえて耳障り。
③SSB、CWでキャリアポイントがずれている。
④時にSメーターが+20dBほど振れて受信不能となる。
⑥受信感度若干低い、特にSSB受信で著明。
⑦長時間電源をOFFにしているとkHzのPLL情報がリセットされる。
です。
先日いろいろ検索していてWRTH1982年版のNRD-515の記事を読みました。問題解消のヒントが書かれていました。
①~③については製造後比較的早い時期に生じるPLLのずれが原因のようで、取扱説明書にも詳しく調整方法が書かれているのはそのためのようです。
⑦についてはそもそも設計当初からVFO情報を保持するキープアライブ機能がないとのこと。TP35にバックアップバッテリー(3-4.5V)を取り付ける事によりVFO情報を保持できるようになるとのことでした。
またWRTHには書かれていませんが検索結果から
④についてはVFOの切り替えリレーの接触不良。
(⑤は対策済み)
⑥は2.4kHzの国際電気のメカニカルフィルター(MF-455-10AZ121)の劣化(内部スポンジの劣化による固着)が原因だとか。
まずは前回不首尾に終ったPLLについて再度調整を行います。今回はPERSEUSを使用して調整しました。
PERSEUSを立ち上げて10MHzの標準電波を受信しキャリブレーションを取ります。その後はマニュアルに従って10MHzの基準周波数、PBTの5MHz、ΔFの38MHz、BFO回路と調整を行いました。70MHzについてはPERSEUSでは測定困難なため中国製のデジタルオシロスコープを使用しました。
今回は調整は1回ではなく、スーパーラジオのトラッキング調整のようにそれぞれのステップを繰り返しておこないました。一度合わせても再度の調整では微妙なずれが生じている事もあり、ずれがなくなるまで調整を数回繰り返しました。
チェックポイントにプローブを接続しているところ
10000.000kHz調整中
今回の再調整により①~③の問題はほぼ解消されました。前回は調整が甘かったのが不首尾の原因のようです。
次いでリレーの接触不良について対策を行います。NRD-515には5個のリレーが使用されていますが私の個体には4個が密封型、1個が開放型のリレーが取り付けられていました。問題なのは開放型のリレーで、これがVFOの切り替え用として使用されています(後期のロットではすべて密封型のリレーが取り付けられているとのこと)。
カバーを取り外し、リレー接点をブロー後接点回復剤を綿棒に染ませてクリーニングを行いました。
これによりこれまで1日に数回は生じていた接触不良がここ2日全く起きていません。根本的な対策にはリレー交換が必要ですが今回はこれで様子を見ることにします。
VFO(内部/外部)切り替えリレー(上蓋を外した状態)
続いて国際電気のメカニカルフィルターのクリーニングを行いました。2.4kHzのメカニカルフィルターと6kHzのセラミックフィルターではSメーター読みで1目盛り違います。
国際電気のメカニカルフィルターMF-455-10AZ 121はディスクワイヤー方式のメカニカルフィルターでメタルケースの内部にトランスデューサー、共振子がスポンジに包まれて位置しています。
スポンジの劣化(特に共振子の下のスポンジ)が共振子の振動を制限して損失が大きくなるとか。メカニカルフィルターを取り外し、内部を洗浄後再度NRD-515に取り付けました。
MF-455-10AZ 121 内部スポンジはボロボロです
MF-455-10AZ 121 クリーニング後
メカフィルの洗浄後は損失もほぼなくなり、Sメーター読みでもセラミックフィルターと同等(0.1目盛りほど低い)となりました。
最後に中波帯(0.6-1.6MHz)の5dBの減衰器(ATT)を解除しました(R5,R6を取り外しジャンパーの取り付け)。当地はさほど強電界域ではないのでATT解除後もMW受信でお化けの発生もなく感度アップを体感できました。
中波帯の5dBATT(減衰器)
VFO情報のキープアライブ機能についは次回に報告予定です。
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