上の写真は2台のSメーターを並べてみたものです。左が1号機のSメーターで、針が基部から先端かけて同じ太さの線状です。みなさんおなじみのタイプだと思います。9R-59D(1966-1969)では色合いに多少の違いがあるもののこのタイプのSメーターだったように記憶しています。
写真右が2号機のSメーターです。あまり見慣れないタイプのものだと思います。先端こそ線状ですが基部から中央部にかけて太めで一見して針が少し重そう。実は購入当初はこのSメーターに悩まされました。
どう悩ませられたかというと受信してみると2号機のメーターの振れが変なのです。中で何か引っかかっているような感じで重たくて…。しかもただ単に重いだけではなく、メーター感度が良すぎる感もあります。
2号機にALA1530S+を接続した場合、中波帯を受信するとSメーターはノイズレベルでも振り切れたままですし、短波帯では信号強度によりけりですが0からの振れ始めが重く、でもいったん振れ出すとS3レベルの信号ですぐに振り切れてしまいます。また多少のフェーディングがあっても針には変化が現れません。とても気持ちの悪いSメーターです。
これに対して1号機のものは中波帯のノイズレベルはメーター読みで3-5程度、KBS京都やMBS毎日放送を受信すると振り切れますが、CBSラジオ(1053kHz)では+35dB程度。振れ出しはスムーズですし、細かなフェーディングの揺れも忠実に表現してくれます。
2号機のSメーターは不良品?とりあえずメーター周りの回路から調べることにしました。
-トラブルシュート開始-
回路図と実機の配線を見比べてみると、回路図に記載されていない、また1号機では見られなかった0.01uFのパスコンが、メーター0点調整用の500ΩB可変抵抗のセンター端子(中間周波1段目のカソードからの入力)に追加されているのを見つけました(A;9R-59Dの回路図に後から追加で記入しました)。「関係ないだろうなぁ」と思いながらもパスコンを取り外してみましたが、やっぱり症状は変わりません。
ウェブ上で検索すると「Sメーターが振れすぎて安物のラジオのようで…第一IFカソードからのR11(B)の1kΩを2k(1.5k)Ωに変更して適度な振れになった」との記載を目にしました。Sメーターへの入力を絞ってみようという話です。
R11を早速2.2kΩに変更しました…確かに若干振れは穏やかになりましたがまだまだ振れすぎです。また重さもそのまま変わりません。本機のトラブルの根本的な解決にはなっていないようです。やはりメーターそのものが悪いのかなぁ。
-いざ本丸へ-
おかしいな?と思いながらもさらに作業を続けます。取り外したメーターからカバーを恐る恐る外します。上の写真Aを左右にふると通電しない状態でメーターの0点を調整出来ます。Aを動かし0点がややマイナス側に振れる状態としました。
またBを回すことでメーターの振れの重さ軽さを調整できることがわかりました。少し緩めることによって重さを改善することができました。
カバーを付けた状態でも表面のマイナスのネジを回すと操作できるようですが(写真A)、今回カバーを外したところ、ネジに付いているはずのツメが折れた状態で出てきました。これでは外部からの0点調整はできません(最終的にツメは接着剤で補修しました)。
この状態でアンテナをつなぎ受信してみると…針の振れが軽くなり細かなフェーディングが表現されるようになって気持ち悪さのかなり部分が解消されました。…がそれでもまだ中波帯ではすぐに振りきれてしまいます。
こうなると気になるのはさっきの圧着端子。
…何かここに取り付けてあったのでは???
…抵抗かな??コンデンサかな??…ひょっとするとの分流のための抵抗?
…Sメーターの感度が違うのか!!!
と思い付いたのでありました(もっと早くに気が付けよと;ここまでに入手から1週間が経過)。
-分かってみると-
59DS 2号機のメーターの感度がいいのです。そのため簡単に振りきれていたのです。仮にですが1号機のメーターが0.5mVスケールであったとすると、2号機のは0.05-0.2mVと高感度のものだったのでしょう。対策は分流の抵抗をかませて、Sメーターに流れる電流を落としてやればいいのです。
まず1kΩでバイパスしますがあまり効果がありません。次に100Ω、今度は振れが弱すぎです。いろいろと試してみて最終的には220Ωと330Ωで悩みましたが、R11を2.2kΩ→1kΩへ戻した上、Sメーターを220Ωでバイパスしたところちょうどいい振れ具合となりました。
2号機はその形状から9R-59DSモデル末期の製品だと考えられます。59D、59DSと使用されてきたパーツもモデル末期には同じものの入手が困難となり、規格の違うものが採用されたのでしょう。
しかし新たなSメーターの規格に合わせて回路の定数を変更することは大変なので、メーター外付けに分流の抵抗を付け、見かけのメーター感度を合わせていたものと思われます。
今回のトラブルでは、ひとつにはメーターの振れの重さ調整するネジがしまりすぎ、さらには回路図には表記されない分流抵抗が取り払われていたことで、このなんとも気持ちの悪いSメーターが出来上がっていたものと考えられます。
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