2013年6月21日金曜日

RTL-SDRドングルの性能比較

 
写真はRTLドングルのせいくらべ。ドングルとはUSBメモリーに代表されるPCに接続する小型の機器を示します。
写真左の黒い背の低いドングルがDS-DT305BK(FC0012)、真ん中の白いドングルはDS-DT310WH(FC0013)、写真右の大きい黒いドングルがDVB-T+DAB-FM(R820T)です。( )内はチューナーチップの名称。
 
 
上の写真は以前に紹介したDS-DT310WHの内部です。2つの主となるチップから構成されています。その1つはデジタル復調8bitA/DコンバーターのRTL2832Uでありもう1つは受信をコントロールするチューナーチップ(写真ではFC0013)。
 
RTL-SDRとして作動するにはRTL2832U搭載が必須ですが、チューナーチップについてはいくつかの種類が対応しているとのこと。今回はチューナーチップFC0012、FC0013、R820Tの3種類の搭載されているドングルの比較を行いました。
 

 
上にはそれぞれのチューナーチップのSDR#のRTL-SDR Controllerの表示を並べてあります。RTL AGCをONの状態でTUNER AGCをOFFとしてのRF Gainを最小(上段)、最大(下段)で表示しています。
 
FC00系チューナーでは最小-9.9dBでありR820Tでは0dBとなっています。
最大ゲインはFC00系で約20dB、R820Tで約50dBです。
 
ゲイン調整はFC0012の5段階ですが、FC0013では23段階、R820Tの29段階とチューナーチップによって差があります。これらをまとめたのが以下の表。
表の最大ゲインだけを見るとR820Tがおよそ50dBの利得に対してFC00系では最大利得は約20dBで、30dBも利得が低く勝負にならないように思えます。が、あくまでこの数字は絶対表示ではありません。
 
そこでこれらのチューナーの感度を直接比較できるようにアンテナを4分配して3つのRTL-SDRチューナーとIC-R8500の4台に接続し同時に立ち上げて受信状況を比べてみました。
 
それぞれのチューナーで3.2MHzの受信帯域で87.0MHzから90.2MHzを表示させ89.0MHzの放送波を受信しています。
 
強力局のシグナル強度が同じになるよう、また比較的弱く受信できる89.0MHzが同じように了解できるようにそれぞれのチューナーの利得を調整しました。
 
FC0012、FC0013でのRF Gainがそれぞれ19.2dB、19.7dB(最大感度)の受信状況とR820TのRF Gainの29.7dBでの受信状況がほぼ同じであることがわかりました。つまりはFC00系チューナーのRF Gain表示に約10dBを加えた値がR820TチューナーのRF Gain表示とみなす事ができるようです。
 
さきほどの表でmax-minを書いていますがこれがR820T、FC0012とFC0013の相対感度比較ということになります。
 
次に強入力特性に注目しました。
RF Gainが大きくても簡単にお化けが出てしまうようでは使い物になりません。上の図ではR820Tを2台を並べて先ほどと同じ条件で89.0MHzを受信している様子です。
 
図中の上のSDR♯ではRF Gainを33.7dBとし、下のSDR#では29.7dBとして受信しています。上のSDR#は下に比べ多くの相互変調波が観察されまた。また89.0MHzの受信でも本来の放送波ではなくその隣の89.4MHzの変調が乗ってきてしまいます(混変調)。
 
FC00系チューナーでは基本的にはフルゲインでの受信でもさほど問題となる相互変調が見られることがありませんでしたが、R820TではRF Gainを30dB以上にすると混変調がひどくなるばかりでそれまで聞こえていた微弱局が聞こえなくなってしまいます。
 
この傾向は普段私が常用する66-108MHz(72-92MHz)の間ではほぼ同じで(92MHz以上ではR820Tをフルゲインにしてもお化けの発生はありませんでした)、R820TではRF Gain表示の30dBを境にして急に混変調が目立ってくるような印象でありました。つまりはR820Tの20dBの余剰利得は私のような強電界地域では(周波数によっては)かならずしも感度向上には貢献していないというのが今回の結論です。
 
ただしここまでの結果はあくまで強電界域でのものであって受信環境によっては十分にR820Tの利得の恩恵を享受される方もたくさんいらっしゃるかと思います。
 
結語:RTL-SDRドングルの強電界域での使用ではFC0012は利得調整の面で微調整が困難で若干不利なもののWFMの受信における実用感度はFC0012、FC0013、R820Tでほとんど差がないものと思われる。
 



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